研究課題/領域番号 |
16K03397
|
研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
小林 道生 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (60334950)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 保険募集 / 保険販売業務指令 / ドイツ保険契約法 |
研究実績の概要 |
EUでは、加盟国間における保険販売規制の調整、金融分野横断的な消費者保護の強化を目的として、「保険仲介業務指令(Insurance Mediation Directive)」の見直しが行われ、2016年2月に「保険販売業務指令(Insurance Distribution Directive)」(以下、「IDD」という。)が発効するに至った。これを受けて、EU各加盟国では国内法化の作業が行われ(その期限は、2018年2月23日)、ドイツにおいても、保険販売規制に関し保険契約法、保険監督法等において所要の改正が行われている。令和3年度に実施した研究では、まず、IDDの全体的構成(全8章、46条から成る)を把握のうえ、個々の条文がドイツにおけるどの法令の規定に位置づけられたのかを確認し、国内法化された主要な規定の邦訳作業を進めた。また、ドイツ保険契約法のコンメンタールをいくつか参照し、IDDの国内法化を受けた保険契約法の改正規定の規制内容について、その由来となるIDDの規定とあわせて理解に努めた。以上は、ドイツ法の現況を明らかにするためには、IDDが国内法化される過程で、その規制がドイツでどのように受けとめられ、保険契約法等のいずれの法令のなかに位置づけられたのか、さらに、そこでどのような改正がなされたのかについて、IDDと保険契約法等における改正規定との比較(照合作業)が必要不可欠であることによる。 令和2年度から継続して令和3年度も、とくに、ドイツ保険契約法1a条について、最新版のコンメンタールを順次参照し、関係規定を含めてその規律内容の把握に努めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ドイツでは、EUの保険販売業務指令を受けて、2017年、保険契約法に1a条が新設され、翌年2月に施行されるに至ったが、令和3年度中も引き続き、同条について解説する、保険契約法の主要なコンメンタールの最新版が出揃っていなかったため。
|
今後の研究の推進方策 |
EUの保険販売業務指令を受けて2017年に国内法化されたドイツ保険契約法1a条について、まずは、保険契約法の最新版のコンメンタール等の資料を順次入手し、これらをもとにして、保険販売業務指令との比較(照合作業)を踏まえつつ、その規律内容を重要な関係規定とあわせて理解する。そのうえで、わが国の保険募集規制との比較法的考察(保険法制定時における法制審議会部会での議論を含む)を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
(理由)海外では、ドイツへの出張を予定していたものの、コロナウィルスの影響により取り止めとせざるを得ず、また、国内出張もオンラインでの会議システムに切り替わり、当初の計画通りに旅費の支出ができなくなったため。 (使用計画)コロナウィルスが収束し所属研究機関の許可が下りれば、複数回、ドイツへの出張を考えている。コロナウィルスが収束しない場合、支出予定であった旅費を図書費に充てることを考えている。
|