研究課題/領域番号 |
16K03403
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
飯田 秀総 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (80436500)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 公開買付け / 企業買収 / 会社法 / 金融商品取引法 / コーポレートガバナンス / コーポレートファイナンス |
研究実績の概要 |
本年度は、引き続き、部分買付けに関する理論の検討と、部分買付けによって企業価値を下げるような非効率的な企業買収が行われるかについて、日本の実際のデータを用いて実証的に検証する作業を進めた。現時点での成果を元に、海外の研究者と議論を行い、海外からみた日本の状況の疑問点・特徴などについて有益なフィードバックを受けた。これを反映させる形で、研究をさらに進めた。 あわせて、法制度の研究を進めた。第1に、公開買付規制に関する最近10年の改正を分析し、規制の意義と立法論上の課題を明らかにした。一定の場合については部分買付けを禁止する全部買付義務を課している一方で、市場買付のみで買い集めることは規制の対象外となっていることなどには、理論的にみて疑問があることを主張した。第2に、金商法の規制の日米比較という観点から、最近の米国証券訴訟判例の分析を行い、米国におけるクラスアクションに対する判例の動向を明らかにした。第3に、企業買収と連続性のある制度である、株主提案権とその濫用対策の立法論を研究した。第4に、投資家と会社の間の情報交換に影響をもたらすフェア・ディスクロージャー・ルールを分析し、制度の目的や、望ましい制度かどうかを検討した。第5に、公開買付規制と同様に、M&Aにおける株主の利害関係を調整する制度である、株式買取請求権制度の限界の分析を行った。株式買取請求権以外の法制度が発展することは、部分買付が行われる場合にも重要であり、部分買付規制のあり方にも関わるものである。いずれも成果を論文として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
統計的手法による分析がある程度進んでいる。関連する法制度の分析も行えている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、理論モデルの研究、実証分析の精度を高める、比較法研究を続ける、株主構成とコーポレートガバナンスの関係を分析することを行う。また、部分買付が行われた案件のケーススタディを行う。
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