研究課題/領域番号 |
16K03419
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
棚村 政行 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (40171821)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 面会交流 / 養育費 / 親権 / 監護 / こども養育支援 / 養育支援ネットワーク / 子育て / 親子ガイダンス |
研究実績の概要 |
2016年4月に、養育支援制度研究会では、兵庫県明石市長及び担当課長から「明石市こども養育支援ネットワークの取り組みについて」という2014年4月からスタートしている基本施策の現状と課題についてヒヤリングを行った。明石市では、「こども養育に関する合意書」という参考書式を離婚届とともに配布しており、「お子さんの健やかな成長のためにー面会交流と養育費」という小冊子も配布していること、「子ども養育専門相談」「専門職総合相談」「法律相談」などに取り組んでおり、親子面会交流スペース「ハレハレ」を明石こども広場内に設置する計画があり、「こども養育ガイダンス」などの父母教育プログラムの実施、夏休みの親子キャンプの実施など、着実な成果を上げていた。2016年8月にも、養育支援制度研究会を開催し、超党派の議員立法として作成された「親子断絶防止法案」が面会交流に偏り、しかも監護親に対する義務付けやDV・暴力等への配慮を欠くために、棚村から子どもの権利条約の趣旨にも沿った子どもの生活も含めた総合的な支援法である「子ども養育支援基本法(仮)」の報告がなされ、メンバーで検討を行った。2016年10月にも、養育支援制度研究会が開催され、「子ども養育支援基本法(仮)」と親子断絶防止法案の修正とシンポジウム開催時期を早める決定がなされた。2016年12月、養育支援制度研究会が開催され、明石市その他の自治体の動きや「親子断絶防止法案」をめぐる動きとシンポジウムの準備が行われた。2017年1月28日、早稲田大学8号館B102教室において「子ども養育支援基本法制定を目指して」というシンポジウムを開催し、子どもに会えないお父さんたちの団体とDV・ストーカー等で不安を抱くお母さんたちを支援する団体を含めて、弁護士・研究者・調停委員など120名が集まり、NHKのニュースで取り上げられたほど活発な質疑応答が展開された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2016年4月には、兵庫県明石市で進められている「明石市こども養育支援ネーとワーク」についての現状と課題についての聞き取り調査が実施され、泉房穂明石市長によると、「こども目線」であくまでも市民や身近な基礎自治体でやれることからやる、「市民の理解」で、施策を押し付けず参考書式や配布物を理解を得ながら配布していく、「広げていく」で予算規模も小さく、無理をすることなく少額で進めるという工夫をして進めていることが印象的であった。また、明石市は、「こどもを核としたまちづくり、こどもに特化したまちづくり」を推進しており、こども医療費について中学生までの完全無償化を図るとか、子どもを産み育てやすいまちづくりの一環として「こども養育支援」の取り組みを実施していることも特徴的であった。ただ、合意形成のインセンティブをどうつけるか、債務名義化をどう図るべきか、DVやストーカー、児童虐待の問題についてどう対応していくか、養育費の立替払い制度の実現には、予算措置が必要で市議会の理解をどう得るか等の課題も明らかにされた。また、2016年2月から本格化した超党派の議員立法であるいわゆる、親子断絶防止法案)の内容と修正提案の検討が養育支援制度研究会のメンバーにおいてなされてきた。その結果、2016年8月には、「親子断絶防止法案」が面会交流に偏り、しかも監護親に対する義務付けやDV・暴力等への配慮を欠くために、棚村から子どもの権利条約の趣旨にも沿った子どもの生活も含めた総合的な支援法である「子ども養育支援基本法(仮)」の報告がなされ、2017年1月28日、早稲田大学において「子ども養育支援基本法制定を目指して」というシンポジウムを開催し、子どもに会えないお父さんたちの団体とDV・ストーカー等で不安を抱くお母さんたちを支援する団体を含めて、弁護士・研究者・調停委員など120名が集まり活発な質疑が展開された。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、親子断絶防止法案の代替案でもある「子ども養育支援基本法」の制定に向けた取り組みをさらに強化するとともに、東京都ひとり親家庭支援センター「はあと」の取り組み、東京都文京区、世田谷区、足立区、渋谷区、新宿区、北区などの23区を中心とした小規模自治体での離婚の際の面会交流や養育費の合意形成支援、合意実現支援、子ども養育支援ネットワークの構築に向けた動き等を調査研究をする予定である。大規模自治体、広域自治体である都道府県レベルでの子ども養育支援ネットワークの形成の現状と課題、小規模基礎自治体での取り組みの実情と課題を比較検討しながら、兵庫県明石市で開始したモデル事業が厚労省の母子自立支援事業や養育費相談支援事業等の国の支援事業との関係で、全国の基礎自治体にどのような条件と方法で広がる可能性と限界を抱えているのかを明らかにしたいと思う。また、韓国、香港、シンガポール、中華民国(台湾)等の近隣のアジア諸国での自治体における面会交流や養育費、子育て等の子ども養育支援ネットワークの形成の実情や取り組みの課題等についても比較研究や現地調査を実施することで、また、日本での司法・行政・民間の関係機関の役割分担と連携のあり方について調査研究を進めることで、明石での「こども養育支援ネットワーク」のさらなる発展のための提言や他の小規模基礎自治体で取り組める子ども養育支援ネットワークの形成の具体的提言につなげたい。さらには「子ども養育支援基本法」の制定や関係省庁の子ども養育支援対策会議(仮称)、「子ども養育支援に関する大綱」などの基本的な施策や行動計画につながる有益な提言をしたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
10000円の使用残額は、印刷やコピー代に関わるものであった。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度の資料の印刷・コピー代として使用する予定である。
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