研究課題
国連の障害者権利条約の我が国による批准を受けて、私たちの成年後見制度は多くの改正すべき課題を抱えている。後見人の選任や監督については、裁判所のみに委ねるのではなく、成年者保護協会等の協力を得るべきであることが、オーストリア(クリアリング等)のみでなくドイツにおいても、明らかになった。日本でも、各地域における中核機関(成年後見センター等)の役割が重要になってきているので、研究対象としても注目してきた。今後は、成年後見制度との関連において、社協の重要な役割の一つとして検討すべきであると思われた。後見人の医療代諾権については、日本では未解決の課題であるので、引き続き、最近、法改正を経験しているドイツやオーストリア等について検討してきた。未成年後見人についても、佐柳忠晴氏の協力を得て、児相との関係や児童虐待問題との関連で「あるべき姿」等について検討した。この点では、ドイツに関する研究が重要であると思われたので、関連の文献を確保し、片山英一郎(研究協力者)が「障害者の遺言制度」を含めて研究を開始した。延長分による研究は、オーストリアに関して行った上記の研究をドイツにおいても行うための文献収集が中心であった。現時点では、関連の文献収集が終了し、それによる研究に着手している。研究会における片山による成果の発表は、本年9月を予定している。この研究により、2019年度までの研究目的は、達成され、次年度の研究への展望が開けたと考えられる。
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老年精神医学雑誌
巻: 30巻増刊2号 ページ: 142-142頁