研究課題/領域番号 |
16K03431
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
蘆立 順美 東北大学, 法学研究科, 教授 (60282092)
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研究分担者 |
成瀬 幸典 東北大学, 法学研究科, 教授 (20241507)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 知的財産 |
研究実績の概要 |
本研究は、知的財産の実効的保護のあり方について、民事的救済と刑事罰の関係に着目し、知的財産法、刑法の各専門分野の理論的研究を基礎に、それぞれの知見を融合し、総合的に検討を行うことを目的とする。 平成28年度は、知的財産法のうち、特に著作権法を対象として、知的財産法、刑法の各分野について、国内の関連文献、立法資料、裁判例等の調査、収集、分析を進めた。 環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律において、著作権法上の侵害行為の一部が非親告罪とされた(施行日は未定)。しかし、刑事法の分野において、親告罪制度の目的や刑事政策的意義に関して十分な研究は行われてこなかったことから、今回の改正を刑事法的角度からの理論的に深く分析・評価することは困難な状況にある。そこで、本年度は、親告罪制度の沿革と諸外国における実情を明らかにするべく、文献調査を行った。また、著作権法の分野においても、十分な理論的検討が行われているとはいいがたい「著作者人格権」の刑事法的保護のあり方についての理論的検討の基礎を獲得するために、その他の人格権の刑事法的保護をテーマとする外国文献の調査を行った。 著作権法分野に関しては、著作権侵害罪について親告罪とされた歴史的な経緯や民事的救済との関係に関する議論を中心として、他の知的財産法との違いにも着目して調査、分析を行った。加えて、上記のTPP協定に関わる法改正の内容や立法経過における議論についても調査、分析を進めた。また、諸外国の著作権侵害に対する刑事罰規制の状況、刑事罰に関する議論や民事的救済との関係に関する理論等に関する文献について、調査、収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の研究対象である著作権法については、関係文献の調査、収集等、概ね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、諸外国における著作権侵害罪に関する調査研究を継続するほか、不正競争防止法や商標法に関する刑事罰規制に関しても、調査を開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
資料収集において、特に海外の関係書籍の出版が先送りとなったため、次年度に収集することとした。
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次年度使用額の使用計画 |
関係書籍が出版され次第、入手の上、分析を進める。
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