研究課題
基盤研究(C)
ドイツにおいては強制入院や身体拘束について実体法ならびに手続法において手厚い規定が用意されている。他方、日本ではこれらの問題について裁判所の関与は予定されておらず、ただ精神保健福祉法が強制入院について家族の同意を要求しているにすぎない(医療保護入院)。成年後見人が本人に代わってその利益を代表する民法上の入院制度も存在しない。障害者権利条約に照らして、高齢者や障害者の権利擁護のための法的対応が必要である。
民法
強制入院や身体拘束への法的対応については、成年後見人を介せず、裁判所や行政官庁が直接に措置を命ずるという制度も考えられる。しかし、ドイツでも成年後見人による民事法上の収容制度は多く利用されている。公法上の収容においては、官庁と被収容者が緊密な連絡をとり合うことは期待できないが、民事法上の収容に関する決定においては私人たる成年後見人によるきめ細やかな保護が可能となるからである。このような観点からの研究には一定の意義があるように思われる。