研究課題/領域番号 |
16K03441
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
鈴木 静 愛媛大学, 法文学部, 教授 (80335885)
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研究分担者 |
井上 英夫 金沢大学, 国際基幹教育院, 特任教授 (40114011) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 患者の権利 / ハンセン病 |
研究実績の概要 |
2018年度の研究概要の実績は以下のとおりである。
第一に、日本と同様に孤島への隔離政策を実施した南アフリカ現地調査を行った。これまで南アフリカに関する調査研究はわが国では皆無である。南アフリカ医療政策の歴史とハンセン病患者が在宅で暮らす現状を調査した。南アフリカはロベン島へ隔離していたことは知られているが、1930年代まででありその後のハンセン病患者の社会復帰、在宅での治療状況については知られてこなかった。ハンセン病患者の在宅生活は、公的な社会保障制度のほか、民間の医療支援団体によって支えられており、私たちは団体ソーシャルワーカーとともに患者への聞取りを実施した。隔離政策廃止後も、病気に対する社会のスティグマは存在しないわけではないが、日本のハンセン病に関する差別状況の深刻さとは異なる。現在、南アフリカ調査に関する報告、論文をまとめている。 第二に、研究テーマである隔離政策廃止後のハンセン病政策の課題は、私たちは現代的課題であり、障害福祉の地域移行支援にも共通する課題であると認識するに至った。2016年に起きた相模原「障害者」殺傷事件後の、施設再建と地域以降支援にも視野を広げ、現状を調査するとともにハンセン病問題との共通する課題を明らかにしてきた。この点につき、成果の一部を日本社会保障法学会で報告し、学会誌に掲載された。 第三に、日本のハンセン病元患者・回復者の高齢化に伴い、高齢者の人権状況に広げて調査研究を行った。国際的には、毎年国連本部において高齢化に関するワーキンググループ(会議)が開催されている。在宅生活における医療等へのアクセス、健康権等、ハンセン病隔離政策後の課題と重複することから、同会議内容の動向を追うとともに日本の現状と課題につき考察している。 最終年度はこれまでの調査研究をまとめ、主題に関する考察を深める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査研究は順調に行うことができている。しかし、南アフリカ調査は関西空港への台風直撃のために延期せざるを得なかった。そのため、予定していたインド調査を次年度へ持ち越さざるを得なくなった。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度であり、これまでの成果をまとめる予定である。成果は学会報告および論文等で公表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年9月上旬に予定していた海外出張が、台風のために延期をした。そのため、予定していた別件の海外出張を次年度に繰り越さざるを得なくなったため。2019年度には、出張先の相手方とも調整をしており、予定通り実施できる。
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