研究実績の概要 |
2019年度は、これまでに行ったアメリカ合衆国における再生可能エネルギーの普及促進に関する近時の動向と法的課題についての各論的考察(2017年度は太陽光・風力、2018年度は水力・地熱・バイオマス・バイオ燃料)を踏まえて、再エネに関する紛争事例の調査研究を各再エネごとに行い整理した。将来的にこれまでの研究成果を研究書として発行することを計画している。 また、他国の動向を調査し、日本との比較考察を行う必要性を認識したことから、再生可能エネルギーの導入が進んでるトップ国の一つであるドイツにおける再生可能エネルギー法(EEG)の研究を行った。その結果、国際商事法務47巻10号(2019年10月)に研究成果を発表した。すなわち、EEG2014、EEG2017のほか、2018年改正についても簡潔に明らかにした。「入札制度の進化によりますます市場原理の考え方が浸透し、再エネはFITから自立していくことが予想される」ことを述べつつ、日本においても入札制度が導入されその適用範囲が拡大しているが、分散型発電を促進する見地からは小規模事業者による再エネ発電施設については固定価格買取制度を維持し入札制度の適用対象外とすべきことを主張した。 また、2020年2月16日に西南学院大学において開催された日本・カナダ学生フォーラムにおいて、本研究を総括する講演を英語で行った(題目:Law of Renewable Energy in Japan-RPS, FIT, FIP and Related Legal Issues-)。この講演では、世界のエネルギー動向、日本の再エネ特措法に基づく固定価格買取制度の制定・改正経緯や今後の展開(FIPの導入など)等を解説するとともに、本科研費の研究助成によって明らかにした、アメリカ合衆国におけるRPSとFITの併存的関係について改めて研究成果を発表した。
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