死体利用における手続保障のあり方を検討するために、日米の立法・判例をその通知・承諾要件を中心に検証した。また、外科手技研修を目的とするカダバー・トレーニングと古人骨の研究利用の実務に関わる医学、博物館、文化人類学、考古学の各専門家からの聴き取りを二度の夏季訪米調査において大学・博物館・ラボで実施した。その結果、死体利用にかかる生前の本人や遺族、死者と共通ルーツを持つとされる先住民族コミュニティに至るドナー側関係者に対して保障されるべき手続は、法的要件の整備だけでなく、利用する側・される側の実務レベルでの継続的な対話と協働関係が構築する信頼関係を基盤として確立するものであることが明らかになった。
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