2016年から3年間の研究計画により科研費基盤研究(C)として採択された本研究は、2019年の1年間の延長を含め、4年間にわたり研究を行った。2017年5月30日の改正個人情報保護法の施行、2018年5月25日のEU一般データ保護規則の発効という状況の中、本研究はEUによるデータ保護の十分性の承認獲得のための個人情報保護法の改正提言、及びグローバル企業の新たな情報法コンプライアンスの提言を行うことを目的として研究を進めてきた。 2019年1月23日、わが国とEUの間でデータ保護の十分性に関する相互承認が行われ、わが国はEU及びEEA等との間で、個人データの自由な流通が始まった。科研費のご支援を頂き、研究した成果を様々な形で提言することができたことに謝意を表したい。 ただしEUによる承認は、2年後に再評価が行われる予定である。2019年、わが国の個人情報保護委員会は、個人情報保護法附則第12条に基づき、同法改正の検討を開始した。この検討は、EUによるデータ保護の十分性の再評価、及びAIなどの新たな情報技術への対応を目的としている。同委員会は、2019年4月25日「個人情報保護法いわゆる3年ごと見直しに係る検討の中間整理」を公表し、法改正に向けて6つの論点を示し、有識者との検討を開始した。 このような状況の中、2019年度における本研究は、研究協力者とともに個人情報保護委員会の立法担当官との議論のための会議を行い、また同立法担当官を招いた2回の公開シンポジウムを開催し、個人情報保護法改正への提言を行った。特に私は、企業の情報法コンプライアンスを専門に研究を行っている立場から、上記の中間報告における6つの論点の中の「ペナルティ」のあり方、すなわち法人に対する刑事罰及び行政罰のあり方について積極的に提言を行った。
|