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2017 年度 実施状況報告書

多国間比較の中の日本の行政:ゲーム理論・計量分析・歴史叙述を用いて

研究課題

研究課題/領域番号 16K03468
研究機関京都大学

研究代表者

曽我 謙悟  京都大学, 公共政策大学院, 教授 (60261947)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード行政学 / 中央省庁 / 官僚制 / 計量分析 / ゲーム理論
研究実績の概要

この研究は,現在日本の行政が,(i)他国との比較の中でどのように位置づけられるのか,(ii)なぜそのような位置にあるのか,(iii)そのことの帰結は何かという三つの問いに対して,ゲーム理論,政治制度論,計量分析を組み合わせることで,解答を試みるものである.
今年度については,主に三つの研究成果を得ることができた.
第一に,2016年度(本研究初年度)の後半に出版した『現代日本の官僚制』に関係する研究会や学会での検討会を経て,同書の問題点や限界を理解することである.主に実態面について,いくつかの制度についての知識不足や誤解をただすことができた.理論面では,官僚制の技能をめぐるゲームの構造について,異なるいくつかの条件の付加が何をもたらすかを検討することや,官僚制の能力と代表性がもたらす帰結について,市民の側の受け止め方に関するメカニズムの理解を深めることができた.
第二に,同じく同書の中で課題として掲げた,官僚制の自律性をめぐる実証分析の一つとして,選挙管理委員会事務局を取りあげた論文を執筆した.通常の省庁官僚制や地方自治体の官僚機構とは異なり,独立委員会の事務局を取りあげることは,当然のことながら,一般化を目指すものではない.むしろ,政治的な圧力が強くかかりうるが故に,制度的には独立性を高められているという特殊な状況において,いかにして自律性が保たれうるのかを検討するものである.計量分析を通じて,組織規模と人事の自律性が,組織の行動を大きく左右することが示された.
第三に,行政の活動の帰結としての政策変化に関する分析方法の検討を行い,政治学会の年報論文として公表を行った.変化の速度と規模を累積し,変化の程度についての分布として捉えていくことや,変化の程度を従属変数として分位点回帰を用いることで,これまでとは異なる側面の分析が可能になることを示した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画において2年目となる今年度に,日本語での業績を公表することとしていたが,前倒しで昨年度,単著を出版することができた.今年度については,来年度にまとまった研究業績の公表ができるよう,基礎的データの収集などに専念したので,結果として,研究計画で予定したとおりの進捗状況となっているからである.

今後の研究の推進方策

次年度は最終年度となるので,研究成果の取り纏めを中心としたい.
日本語書籍の出版という一つの課題については既に終えたので,英語論文の執筆を進めていく予定である.
他方で,ここまでの研究を実施してきたところから,日本の官僚制についての数量化されたデータの不足が,分析上の隘路となることを実感しているところでもある.つぎの研究課題とはなるが,この問題を解消するために,いくつかの試行的なデータ収集を試みることで,本研究課題を深めることと同時に,本研究課題を発展させた継続的研究の礎石を築くことも試みたい.

次年度使用額が生じた理由

データ入力に予定していた謝金を使い切らなかったことによる.
入力すべきデータの元となる資料を探し出すことに手間取ったためだが,この点を解消し,次年度に併せて業務を実施する.研究補助者も確保しているので,作業は可能である.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 『日本の地方政治』再訪:尖度と分位点回帰を用いた政策変化の量的把握2017

    • 著者名/発表者名
      曽我謙悟
    • 雑誌名

      年報政治学

      巻: 2017-II ページ: 96-121

  • [図書] 「選挙管理委員会事務局の能力・専門性・自律性」大西裕(編)『選挙ガバナンスの実態 日本編』2017

    • 著者名/発表者名
      曽我謙悟
    • 総ページ数
      292
    • 出版者
      ミネルヴァ書房
    • ISBN
      97846230816

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公開日: 2018-12-17  

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