本研究においては、「帝国」「君主」「コモンウェルス」の3つの観点から、ルネサンス期から初期近代(16~18世紀)にかけての「イギリス」政治思想史を描き直すことを目的とした。 その結果、とくに同時代における「帝国」と「君主」をめぐる政治的言説の展開や、マキァヴェッリに代表される帝国論と君主論の受容、「グレイト・ブリテン」の王を名乗ったジェイムズ6世・1世や、ロバート・セシル、フランシス・ベイコンといった顧問官による統治論の様相などを通じて、複合的・多元的な帝国の統治を可能にした、初期近代における「ブリテン」の経験と記憶が明らかとなった。
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