3年間の研究で、フランスの右翼ポピュリズム政党である「国民戦線}(現在は「国民連合」に改名)と、その新党首であるマリーヌ・ルペンについて総合的な研究を深めることができた。特に、マリーヌ・ルペンに焦点を絞って、女性党首就任後の国民戦線の党勢伸張について様々な角度から分析と考察を加えることができた。アメリカでのトランプ大統領の当選以来、世界的にポピュリズムについての関心がたかまり、本研究も、フランスにおけるポピュリズム現象の解明に貢献することもできた。本研究の具体的成果であるが、特に2017年の大統領選挙をめぐって日本でも注目があつまり、商業雑誌への執筆やマスコミへの情報提供など、様々なニーズに応えることができた。 また、本研究は、欧州で高まる移民・難民排斥の動きや反EU・反ユーロ」の問題についても、右翼ポピュリズム政党の伸張と関連づけて分析・考察してきた。そして、ポピュリズムの台頭が、フランスの経済社会、政治の変容と深く結びついていることを明らかにした。その成果は、最終年度の実績であり、本研究の総仕上げのである佐賀大学の研究紀要『佐賀大学経済論集』に「マリーヌ・ルペンとフランスの右翼ポピュリズムー変容するフランス政治と「国民戦線(FN)について考える」という連載論文に結実している。現在は第6回目まで公表されているが、最終回では「国民戦線」台頭についての分析を総合して、フランスのデモクラシーにとってポピュリズム現象がもっている意味について考察する予定である。
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