研究課題/領域番号 |
16K03482
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
手塚 洋輔 大阪市立大学, 大学院法学研究科, 教授 (60376671)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 更迭 / 行政組織 / 帰責 / リスク / 非難回避 |
研究実績の概要 |
本研究課題は,さまざまな問題に直面した政府が,政権の維持及び各行政機関の組織存続を企図する中で行う,更迭(人事面)や組織再編(組織面)などの帰責処理に着目してそのダイナミズムを探究し,ひいては統治の有り様の変容を考察しようとするものである。 第3年度となる平成30年度は,第1に,前年度に引き続き関連研究の文献調査及びその分析を進めた。本研究課題の先行課題でもある事後検証機関に関する研究課題(若手研究B)の成果を参照しつつ,さらにオーストラリア・イギリス・アメリカ等を比較研究した成果(Stark 2018)といった近刊された諸研究も視野に入れつつ進めた。 第2として,更迭及び組織再編の事例を発掘するべく,これまで研究代表者が行ってきた更迭研究で構築したデータの再整理を行うとともに,2001年以降の組織再編について基礎的な調査を引き続き進めた。また政権を取りまく不祥事案が続発する現政権への同時代的分析も近刊されていることから,これらの成果も摂取しつつ進めている。 第3に,内閣や省庁レベルにおける更迭や組織再編との関係からも,政権中枢に関与したアクターのオーラル・ヒストリーを読み直す作業も引き続き行っており,大阪市立大学での公開講座においてその一部を紹介し,成果の社会還元をはかった。 第4に,本研究課題での成果を踏まえつつ,同じ問題意識のもと,いくつかの個別政策領域について派生的研究を行った。(1)同一組織内における長期的な変化に関しては,社会保険・福祉分野でのオーラル・ヒストリーの成果について書評的分析を行い,研究会で報告を行った。(2)政権の維持という観点から災害対応について国際学会で報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね進展しているといえるが,昨年度にやり残した作業を行ったことに加えて,今年度は他の研究プロジェクトの成果取りまとめにやや注力したこともあって(共著3冊),言説分析までは至れなかった。この点については,最終年度を迎え,残された研究資源を最大限活用して進めていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の主要テーマである更迭に関しては,平成30年度に入ってからも複数の府省やオリンピック等大規模プロジェクトにまつわる不祥事案が多発しているため,これらについても事態を注視しつつ,研究を進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度の調査対象に関しても,幸いにして,電子情報としてインターネットを介して入手できたものも多く,複写費等で予定を下回ったことが大きい。それについては,次年度に研究を進める際の旅費や電子情報の解析に必要な物品等の財源として活用していきたい。
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