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2018 年度 実施状況報告書

後期マッキーバーの「社会科学」論

研究課題

研究課題/領域番号 16K03483
研究機関國學院大學

研究代表者

苅田 真司  國學院大學, 法学部, 教授 (30251458)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2021-03-31
キーワードアメリカ社会科学 / マッキーバー
研究実績の概要

本年度は、研究計画に従い、前年度までに収集したマッキーバーの公刊済み資料および公開されている一次資料の検討を中心に、コロンビア大学時代のマッキーバーの思想についての分析を行った。特にコロンビア大学内外での人的な関係という側面から、マッキーバーの社会科学観の形成に重要な役割を果たした人物を析出し、マッキーバーとの関係の解明に努めた。
前年度の研究で明らかにしたように、コロンビア大学におけるマッキーバーの社会科学観の形成過程において、同僚であるロパート・リンドの対抗関係は、重要な意味を持っている。前年度の研究では、ロバート・マートンとパウル・ラザースフェルドという、それぞれの後継者の側から、両者の対立について考察を行った。これに対して、本年度の研究では、マッキーバーとリンドの対立を、それ以前のアメリカの社会科学思想の展開の中に位置づけることを試みた。
依然として研究途上ではあるが、マッキーバーとリンドがそれぞれ依拠する因果性の観念の差異に特に焦点を当てて分析を行い、その成果の発表の準備を行った。すなわち、マッキーバーが、社会全体の体系性を考慮した構造的な因果性をその分析の焦点に置くのに対して、リンドはむしろ個人の心理的な因果性の集積として社会的な因果性をとらえており、同じマクロ的な分析に見えるようで、実はその両者の間には非常に大きな違いがある。今年度の研究では、この両者の因果性の捉え方を、アメリカの社会科学における因果性の観念の歴史の中に位置づけるべく、他の社会科学者との比較作業を続けた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画に沿って、コロンビア大学自体のマッキーバーの研究は順調に進行している。研究成果の一部を論文と手公刊する計画についても、準備が進みつつある。ただし、すでに公刊されている文献が予想以上に多く、また、それらをアメリカ社会科学の歴史の中に位置づける作業に予想よりも多くの時間がかかってしまったため、マッキーバーの個人史的な研究が必ずしも十分ではない。とりわけ、コロンビア大学時代およびスコットランド時代のマッキーバーに関する未公刊資料の収集に関しては、資料の所在確認は進めているものの、実際の現地調査には至っていない。

今後の研究の推進方策

前年度の研究で行った、アメリカ社会科学史の中にマッキーバーとリンドを位置づける作業を、今年度も継続していきたい。また、マッキーバーの未公刊資料については、できる限り早く現地に資料収集に赴き、その整理と分析の作業に着手したい。

次年度使用額が生じた理由

マッキーバーの未公刊資料の収集のためにアメリカ合衆国およびイギリスでの資料収集を予定しているが、公刊済み資料の分析に予想以上の時間がかかっており、未公刊資料の収集ができる段階に到達していない。未公刊資料の収集に必要な所在確認その他の予備作業は行ってあるため、できる限り次年度中に旅費部分を使用したいと考えている。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 「宗教」・「世俗」・多元主義 ―― タラル・アサドと政治理論2018

    • 著者名/発表者名
      苅田 真司
    • 雑誌名

      國學院法学

      巻: 55 ページ: 1-29

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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