研究課題/領域番号 |
16K03485
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研究機関 | 成蹊大学 |
研究代表者 |
西山 隆行 成蹊大学, 法学部, 教授 (30388756)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | アメリカ政治 / マイノリティ / 政治的分極化 |
研究実績の概要 |
マイノリティがアメリカ政治の状況を変えつつある現状を理解するため、2018年度は実体調査に加えて、理論的な検討を実施した。とりわけ、マイノリティの増大を受けて労働者階級の白人が自らを「新たなマイノリティ」と考えるようになりつつある現状を指摘した研究書の翻訳を行うなど、新たなマイノリティとしての白人研究を中心に実施した。彼らは、アメリカの中間層としての納税者意識を持つとともに、黒人や移民の増大によって自らが相対的に剥奪されているという意識を強く持つようになっている。その意識が、社会福祉や国境管理との関係から、アメリカ政治にどのような影響を及ぼしているかを検討し、その意識を持つトランプの岩盤支持層の行動原理の解明を試みている。そのような岩盤支持層の意向を踏まえたトランプ大統領が行っているマイノリティを巡る様々な過激な発言が、伝統的なマイノリティを中核的支持基盤とする民主党に反発心を生み出させ、マイノリティ支持層の社会運動も活性化している。マイノリティをめぐるこれらの政治的、社会的対立がアメリカ政治の分極化と対立激化をもたらしているメカニズムを、政党政治の論理や、各種政策領域の問題とも関連付けつつ検討している。これらのアイディアは2018年度から2019年度にかけて随時公刊している論文やテキストで仮設的に示しているが、より本格的には、2020年に刊行を念頭に置いている研究書で体系的な成果としてまとめる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度は、これまでの研究成果を仮設的にまとめたテキスト、論文を公刊するとともに、研究会報告や講演なども実施している。想定していた通りに研究は進んでおり、次年度以降の研究書刊行に向けての準備も進んでおり、おおむね順調に進んでいると判断してよいと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は、2020年度のアメリカ大統領選挙をめぐる様々な動きが活発化すると同時に、州や地方政府のレベルでも選挙が行われるため、マイノリティが政治変動をもたらすメカニズムを検討する機会が豊富にある。それらの動きを体系的に把握し、以後の研究論文、研究所の公刊につなげる予定である。
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