研究課題/領域番号 |
16K03485
|
研究機関 | 成蹊大学 |
研究代表者 |
西山 隆行 成蹊大学, 法学部, 教授 (30388756)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | アメリカ政治 / マイノリティ / 移民 / 連邦制 |
研究実績の概要 |
2019年度はまず、マイノリティについての理論的な検討を実施した。その中でも、海外に起源を持ちアメリカに流入した人々については、合法移民、不法移民、難民などが存在するが、それらが政治過程においてどのような位置を占めているかを示す作業を行い、テキストの一章としてまとめた。また、マイノリティの増大を受けて白人労働者層が自らを「新たなマイノリティ」と考えるようになった現状を指摘した研究書の翻訳を刊行するとともに、それがトランプ時代のアメリカにおけるポピュリズムとどのように関連するかについても論文にまとめた。今日のアメリカ政治を特徴づけるキーワードは「分極化」と「対立激化」であるが、そのような特徴を生み出すうえでマイノリティがどのような影響を与えているかについて検討を行った。この問題を解明する上では、人種やエスニシティ、連邦制、税金に対する態度、宗教との関連など、多様な制度や政策が密接にかかわってくる。本研究プロジェクトは最終的にはそれらの要素がどのようなメカニズムで関わりあうかについて解明することが必要になるが、2019年度はその前作業として、連邦制や税金など各要素についてどのような特徴が重要な意味を持つに至っているかを個別に整理する作業を行い、研究全体の中間報告の意味を込めて著書を一冊刊行した。ここで提示されたアイディアを、2020年に刊行を念頭に置いている研究書で体系的な成果としてまとめる予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナウイルス禍によって年度末に海外調査を断念せねばならなくなるなど予期せぬ事態が発生し、現地調査ではやや遅れが生じているものの、研究プロジェクトの中間報告としての意味を持つ著書を発表するなど多くの成果を出したと考えられるため。
|
今後の研究の推進方策 |
研究プロジェクト最終年度に当たる2020年度は、海外の学会等で研究報告を実施する予定でプロポーザルも通っていたが、研究大会自体が延期となった。また、果たして現地調査を実施できるかについても不明なところがある。だが、アメリカ大統領選挙と連邦議会選挙が行われる本年は、インターネット等を通して多くの情報を入手することが可能になるため、2019年度までに行った調査により導かれた仮説をより精緻化し、著書としてまとめることを目指したい。
|