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2017 年度 実施状況報告書

自民党政権「形成期」における政府与党関係の研究―事前審査制はなぜ定着したのか?

研究課題

研究課題/領域番号 16K03486
研究機関東海大学

研究代表者

奥 健太郎  東海大学, 政治経済学部, 教授 (10512634)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード自民党 / 事前審査制 / 政調会
研究実績の概要

2017年度は勤務先の東海大学から在外研究の機会を与えられ、オックスフォード大学ニッサン研究所(The Nissan Institute of Japanese studies)で研究活動に従事した。イギリスでは主として二つの研究活動を行なった。
第一は、イギリス保守党の院内政党の調査である。特にフィリップ・ノートンの論文にヒントを得て、党内委員会(Party committees)に注目して研究を行った。与党時の党内委員会は、バックベンチャー議員によって構成され、政府の進める政策への対応を関係議員が検討する場であった。それゆえ、自民党政務調査会との比較が有益であると考えたからである。イギリスでは文献調査とともにオックスフォード大学図書館の保守党文書館(Conservative Party Archives)でも一次資料の調査を行った。また、保守党の前議員、現職の議員からのインタビューも行った。これらの研究活動通じて、日本政党史の理解するための視野が広がり、自民党政調会の特徴、事前審査制を研究する重要な視点をいくつか発見することができた。
第二に、『衆議院公報』のデータ入力を行った。1956年から64年の政調会各部会、各特別委員会、各調査会等の会議データを入力し、一種のデータベースを構築した。『衆議院公報』を利用した研究はこれまでも存在したが、精度の点で従来のものと質的に異なるものであると考えている。このデータベース構築の目的は、事前審査制の定着過程を数量的に論証することにあり、その成果は、2018年5月に開催される日本選挙学会において発表される予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度の課題として残されていた日英比較については、在外研究が認められ英国で研究を行うことができたことにより、大幅に研究が進展した。特に保守党文書館に日常的に通うことができたのは、大きな収穫であった。
また衆議院公報のデータ入力も、比較的時間がとることができたので、かなりの量のデータを蓄積することができた。
その一方、日本で資料調査を1年間できなかったことは、研究遂行上の大きな制約であったことは否めない。
以上のことから、全体を通じておおむね順調に進展していると判断できる。

今後の研究の推進方策

2018年度の課題は、①日英比較の研究をまとめ発表すること ②2017年度実施できなかった日本側の資料の読み込みを深化させること、③2018年度選挙学会での報告を論文として発表することである。
①については、2018年度以降イギリスでの補足調査の必要性があると考えられる。②については高田浩運日記、坊秀男日記を中核資料として、いくつかの事例研究に取り組む予定である。③は定量的研究なので、定性的研究と組み合わせることが課題となっている。選挙学会での発表後は、②との連関を強く意識して研究を推進していく。

次年度使用額が生じた理由

2017年度は在外研究で英国に1年間滞在したため、どの程度必要経費が生じるのか見通すこと難しかった。特に日本との物理的距離から、日本で謝金を用いた作業を依頼することが困難となり、依頼を18年度に後ろ倒ししたことで、見通しとの大きなズレが生じた。しかし、2018年度は日本に帰国して仕事を依頼できるので、当初の計画通り研究が遂行できると考える。

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公開日: 2018-12-17  

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