研究課題/領域番号 |
16K03491
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
厚見 恵一郎 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (00257239)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | マキァヴェッリ / エピクロス主義 / ルネサンス / 人文主義 / ルクレティウス / 徳の政治学 / 功利主義 / 快楽主義 |
研究実績の概要 |
2018年度は、当該課題についておもに以下4点で研究を遂行した。(1)関連研究資料の収集と読解:引き続き関連する国内外の文献資料を収集し、読解に着手した。(2)研究講演会の開催:2018年5月19日(土)に、早稲田大学26号館地下多目的講義室において、James Hankins氏(ハーバード大学歴史学部教授)を招聘しての講演会を開催した。メリトクラシーの東西比較の観点から徳の政治学の内容にも言及した内容の講演であり、講演終了後の活発な質疑応答も含め、有益な学びのときとなった。(3)関連学会への出席:2019年3月17-19日にトロントで開催されたRenaissance Society of Americaの年次大会に出席し、いくつかのセッションを聴講した。(4)論文の執筆:ルネサンス政治思想におけるエピクロス主義の影響についての研究の一環として、先行研究を参照しつつ、マキァヴェッリと原始主義(primitivism)の関係にかんする論文の執筆を進めた。 また、当該課題に関連して、社会思想史学会編『社会思想史事典』(2019年1月刊)に項目「マキァヴェッリ」および「人文主義」を執筆した。 マキァヴェッリへのルクレティウスの影響を考察する作業の一環として、政治共同体の起源と発生を扱う「原始主義」の伝統のうちにマキァヴェッリを位置づける試みを進めている。政治共同体の自由を維持拡大するための要件として、市民や統治者の理性的・道徳的資質や、諸階層間の均衡による制度的安定を重視するのが、古典古代からルネサンス人文主義期の統治論の流れである。しかしマキァヴェッリの統治論は例外的に、「欲望・葛藤・闘争の制度内的発揚」によって政体の自由を担保しようとする。マキァヴェッリのこうした特異性を、「原始主義」およびエピクロス主義の影響の文脈で説明できないかと考慮中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
関連文献読解や論文への取りまとめがやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
関連文献読解や論文執筆を進め、延長期間内での論文公表を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
校務などにより研究進捗に遅れが生じたため、補助期間の1年間延長を認めていただいた。論文執筆に必要な諸経費および関連学会の参加費などに充てる計画である。
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