シェアードサービスについて継続的に国内外の調査研究を進めサービスの連携事例を蓄積した。国内については、国が推進する新たな広域連携下での市町村の適応状況を把握しつつ、愛知県と京都府内の自治体のシェアードサービスや行財政改革事例を収集分析した。国外は、米国のデトロイト周辺の自治体(ウォーレン、センターライン、ハムトラック等)へインタビューを行い、それぞれ実情は異なるが、財政状況が厳しいハムトラックやセンターラインでは積極的に他の自治体との間でサービスの連携や民間委託を進めている状況を把握した。また、資本集約的なものについては特に連携効果が高く、効率性が図られるだけでなくサービスの質向上にも貢献する点が明らかになった。米国の場合は日本とは異なりサービスの守備範囲が小さく、小規模自治体においてはそもそも主要なサービスがないケースもみられ、近隣自治体や民間と連携しつつ必要なサービスをつくりだしている点も浮き彫りになった。 一方、米国住民を対象に、道路整備・メンテナンスを題材にサーベイ実験を含むインターネット調査を実施し、住民のサービスへの期待や満足度の相違などの関係を明らかにし、シェアードサービスの前提としての住民の業績への認識上の課題を抽出した。 調査研究で得られた知見を公表するため、自治体のシェアードサービスの可能性について米国の事例を手がかりに整理分析した論文を国内学会へ投稿しアクセプトされた。具体的には、先行研究のMorse and Abernathy (2014)のシェアードサービスの9類型を日本の実情に適合するように修正し、サービス生産とガバナンスの2軸により、共有分離、共有統合、自治分離、自治統合の4類型にし、日本のシェアードサービスの対象拡大、割合変更、深度化の可能性をを導出した。国際学会でも研究発表を重ねた。海外ジャーナルへの投稿は現在査読中である。
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