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2018 年度 実施状況報告書

非核三原則の規範化をめぐる政治外交過程

研究課題

研究課題/領域番号 16K03502
研究機関龍谷大学

研究代表者

中島 琢磨  龍谷大学, 法学部, 教授 (20380660)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード核兵器 / 事前協議制度 / 安保改定交渉
研究実績の概要

・前年発表した論文(「原子兵器の日本貯蔵問題」、1955年迄の時期を対象とした)の内容を踏まえ、安保改定交渉中(1958~60年)の核兵器の持ち込み問題に関する日本側アクターの認識と行動を調べた。特に岸信介首相、藤山愛一郎外相、飛鳥田一雄衆議院議員、山田久就外務次官、高橋通敏条約局長の口述記録を検討した。これらは1981年に毎日新聞社の「灰色の領域」取材班が行ったインタビュー記録で、歴史資料として価値があることから、『アジア時報』2018年7・8月号より順次、連載した。
・現在分かっている日本政府の認識を整理すると以下の通りである。①安保改定交渉中、岸首相と藤山外相はそもそもの事前協議の主題として、核兵器が陸上に配置、貯蔵されるケースを想定していた。②岸と藤山は、問題の「一時立ち寄り」のケース、特に核兵器搭載艦船の寄港や、艦船の通過の問題については、米国と詳しく詰めていなかった。③マッカーサー大使は寄港の話を持ち出しておらず、核兵器の置き場所は極秘で自分たちも知らないと日本側に伝えていた。④高橋条約局長ら外務省幹部も、事前協議の対象となる核兵器については「固定したもの」「土地にむすびついたもの」を想定しており、軍艦が出入りするだけのケースは対象外だった。⑤一方で外務省幹部(高橋、藤崎万里、東郷文彦)は国会審議前に、艦船・航空機の出入りを認めた地位協定第5条と、日米安保条約第6条との間に矛盾が存在することに気づいたと見られる。その後1960年4月19日の国会で地位協定第5条の問題が指摘されると、赤城宗徳防衛庁長官は寄港も事前協議の対象だと答弁した。
・上記の日本側の認識は、米国側の公文書と一致しない部分があり、日米の記録の違いの背景について今後検討する。1950年代~60年代に日本政府内で行われた核兵器の持ち込み問題に関するフォーミュラの検討内容については、次年度論文で公表する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

・安保改定当時の日本側関係者の認識と行動に関する事実関係の整理が進んだことによる。

今後の研究の推進方策

・日米の公文書や口述記録の内容を比較して、事実関係に関する日米双方の当事者の認識が異なる理由と背景事情について検討する。

次年度使用額が生じた理由

・出張旅費の支出を次年度に変更したため。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (6件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] 解説(「灰色の領域」第6回 山田久就・元外務事務次官(下)~米国の核の傘と非核三原則の交差点[取材記録公開])2019

    • 著者名/発表者名
      中島琢磨
    • 雑誌名

      『アジア時報』(2019年3月)

      巻: 544 ページ: 33~36

  • [雑誌論文] 解説(「灰色の領域」第1回取材記録公開~米国の核の傘と非核三原則の交差点)2018

    • 著者名/発表者名
      中島琢磨
    • 雑誌名

      『アジア時報』(2018年7・8月)

      巻: 538 ページ: 10~17

  • [雑誌論文] 書評 池宮城陽子『沖縄米軍基地と日米安保:基地固定化の起源 1945-1953』2018

    • 著者名/発表者名
      中島琢磨
    • 雑誌名

      『防衛学研究』

      巻: 59 ページ: 89~93

  • [雑誌論文] 解説(「灰色の領域」第2回 藤山愛一郎~米国の核の傘と非核三原則の交差点[取材記録公開])2018

    • 著者名/発表者名
      中島琢磨
    • 雑誌名

      『アジア時報』(2018年9月)

      巻: 539 ページ: 60~64

  • [雑誌論文] 解説(「灰色の領域」第3回 飛鳥田一雄~米国の核の傘と非核三原則の交差点[取材記録公開])2018

    • 著者名/発表者名
      中島琢磨
    • 雑誌名

      『アジア時報』(2018年10月)

      巻: 540 ページ: 34~37

  • [雑誌論文] 解説(「灰色の領域」第4回 高橋通敏外務省元条約局長~米国の核の傘と非核三原則の交差点[取材記録公開])2018

    • 著者名/発表者名
      中島琢磨
    • 雑誌名

      『アジア時報』(2018年12月)

      巻: 542 ページ: 43~48

  • [学会発表] ベトナム戦争と同盟内政治の論点――日本の視点から2019

    • 著者名/発表者名
      中島琢磨
    • 学会等名
      科研「米国による同盟の戦略的調整に関する比較歴史研究」研究会
  • [学会発表] 書評報告:菅英輝『冷戦と「アメリカの世紀」――アジアにおける「非公式帝国」の秩序形成』(岩波書店、2016年)2018

    • 著者名/発表者名
      中島琢磨
    • 学会等名
      アメリカ学会
  • [学会発表] 楠田たちが描いたビジョンとその展開――戦後観への着目2018

    • 著者名/発表者名
      中島琢磨
    • 学会等名
      楠田資料研究会
  • [学会発表] 戦後の日本は主権を回復したか――日米安保と沖縄を中心に2018

    • 著者名/発表者名
      中島琢磨
    • 学会等名
      主権研究会(『年報政治学』)

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公開日: 2019-12-27  

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