研究課題/領域番号 |
16K03506
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
上子 秋生 立命館大学, 政策科学部, 教授 (70378503)
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研究分担者 |
野田 遊 愛知大学, 地域政策学部, 教授 (20552839)
村山 皓 立命館大学, 政策科学部, 授業担当講師 (50230016)
村山 徹 愛知大学, 三遠南信地域連携研究センター, 研究助教 (80706862)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 近隣自治体 / 地方議会 / 自由裁量 |
研究実績の概要 |
平成29年度において実施した研究活動の内、最も大きなものは、2017年8月27日から9月2日にかけて、カンボジア王国のカンポン・トム州、カンポン・チャム州及びシェム・リアップ州において、それぞれ2つのコミューン、サンガット(カンボジアにおける地方自治の基礎となる最少単位の地方自治体)において実施した、これらコミューン、サンガットの評議員(公選の議員であり、同時に行政の担い手としての実施部門を兼ねる)に対するアンケート調査の実施である。カンボジアにおけるこの種の調査は、アンケート或いはインタビューといった調査に対する慣れがなく、調査への協力の確保が困難であるとともに、調査対象となる議員の氏名、住所等が公表されておらず、そもそも、調査対象が把握できないという困難が存在する。また、英語等の外国語がほとんど通用しないことから、クメール語に頼らざるを得ず、これへの翻訳の正確性の確保にも難しさが存在する。本件調査については、上子がこれまでのカンボジアでのJICAの地方分権への協力プロジェクトに係わった経緯から、カンボジア内務省の協力を得て、十分な調査結果を得ることができた。また、JICA案件にも関わり、調査内容を十分に理解する現地プノンペン大学講師の協力を得ることにより、言語上の問題をクリアーした。 本件調査は主に村山(晧)により立案され、カンボジア王国政府内務省の協力を得て、そこより入手した情報を利用して、調査対象の選定を行い、現地の調査業務支援を行う会社に帆現地語(クメール語)へ翻訳の上、内務省よりの協力依頼とともに郵送した。その後、村山(晧)、上子が現地に赴き、調査対象の一部に対するヒアリングを行いつつ回収作業を行った。 その調査の直接の結果、及びそれに対する考察については、村山が別記の論文としてまとめたところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本件研究の主題は、行政と政治の係わり、行政と政治のそれぞれの役割分担の問題は、地方政府の階層、つまり、その規模によって異なるのではないかとの予測の検証であるところ、今年度においては、上述の通り、わが国には存在しない、小規模で、地方政府の第3層に位置づけられるカンボジアのコミューン、サンガットの評議員(行政職的役割を兼ねる議員)への調査を行い、本件主題の考察の手掛かりとなる情報を得ることができた。これは、本研究の着目する自治体の規模のわが国には存在しない一方の極である小規模な地方政府での感覚の実態を確認したことになる。カンボジアにおける調査を実施し、期待した成果を挙げることができたことから.第2年次としては十分な成果を挙げえたものと考えている。 併せて、我が国における自治体の規模の変遷等に関する考察も進めており、第3年次(最終年次)における結論の導出へ向けての、現段階においての十分な材料集めができていると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後、カンボジアにおいて主に村山(晧)の企画により実施した調査内容についてさらに考察するとともに、我が国の実情をそれに照らして再考察することを考えている。このため、今年度においては、研究の参加者がそれぞれに、それぞれの得意とする分野からの考察をすすめ、それを持ち寄り討議することにより、本研究の結論を探り、最終の報告書へとつなげていくことを想定している。 このため、本年度においては、研究代表者、研究分担者の間での討議の場を設定することを主とし、研究内容、考察の骨子を文章化して、最終報告書へとつなげていきたい。 より具体的には、関係研究者間での議論の場を設定し、本件研究の主題である民主主義と行政の意思決定へのかかわりの規模、地方政府の規模による違いの考察を深めていき、その結果を発表していくことを考えている。 一方で、カンボジアにおいては、現在、本年行われる総選挙を前に政治的緊張が高まっているところであり、そういった変化がカンボジア地方政府における意思決定、政策の実施状況にどのような影響を与えていくかも注視していきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度に海外で実施した調査にかかる調査票作成業務等に対する支払を行うに当たり、外貨送金が発生し、為替の状況によっては、資金が不足することが予想されたことから前倒し支払を請求したこと及び分担研究者において、本年度においては支払の必要がなかったこと等により次年度使用額が発生した。当該額については、平成30年度支払い請求額と併せ、本件研究の最終年度に当たる平成30年度の研究会、報告書作成の経費に充てる予定である。
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