日米韓関係における文化政策は、国内政治、二国間外交、国際政治のレベルで位相を高めている。特に、日韓の歴史問題に関する文化財や文化遺産は、ユネスコの世界文化遺産登録において注目されている。他国との間で、文化財をめぐる歴史認識をめぐる対立がある場合、文化財の価値や文化財が生まれた社会の文化・歴史的な文脈より、歴史認識をめぐる政治性が外交問題として利用され、文化財の価値や教育的な資源としての可能性を看過している。遺産登録をめぐる外交論争としての各国の主張は、単に各国の正当性を示す材料にすぎず、文化財そのものの価値、両国の平和な将来に向けた歴史教育の題材としての文化財の可能性を十分に考慮していない。
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