本研究は、パリ協定とそれを補完する締約国会議決定の実態調査を行い、パリ協定の実効性と気候変動ガバナンスの変容についての実証分析、及び国際環境制度の実効性に関する示唆を得ることを目的とした。パリ協定は、京都議定書の課題であった参加国の拡大、衡平性への配慮を実現した。さらに自主的な国別目標を五年ごとに更新し、環境十全性からレビューする場を設け、強制力を持たせる工夫がなされた。第二回目の国別目標は、第一回目に比べ強化されており、各国の行動変化が見られることから、政治的実効性が高いと評価できる。従って、パリ協定は京都議定書が抱えた実効性の低下という課題を克服する試みであると結論づけた。
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