研究課題/領域番号 |
16K03526
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研究機関 | 山口県立大学 |
研究代表者 |
吉本 秀子 山口県立大学, 国際文化学部, 教授 (00316142)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | アイゼンハワー / 大統領行政府 / 沖縄占領史 / メディア政策 / 軍事指令 / ペンタゴン / 作戦調整委員会 |
研究実績の概要 |
新型コロナウィルス感染症の影響で、本研究で訪問を予定していた米国立公文書館が長期休館になった。一時的かつ部分的に開館された時期もあったが、諸々の状況を踏まえ、訪問を断念せざるを得ない状況が続いた。そのため、2021年度は、これまでの訪問で収集した史資料の読み直しを行い、そこから、新たに発表された隣接領域における研究成果を踏まえ、新たな視点からの考察を実施した。また、これまでに執筆した日本語論文を英語論文に自分で翻訳する作業を行った。これにより、今までよりも広範な視点から、本研究の主たる課題であったアイゼンハワー政権期における米国の対外情報政策を捉え直すことができた。 特に、近年、冷戦史の再検討が盛んに行われていることから、本研究が対象とする沖縄に関する文献だけでなく、広い意味での「冷戦」に関する理論的な再検討を行った。そこから、空間的には沖縄を取りかこむ他のアジア地域との関連性、さらに時間的に見ると、大日本帝国の植民地政策との関連性が見えてきた。これらの関連性は、本研究が対象としてきたアイゼンハワー政権期にとって重要な構成素と言える。 アイゼンハワー政権期は、第二次世界大戦期から冷戦期にかけての時間軸で捉えると、ちょうど政策的な転換期に転換期に当たる。空間軸で捉えると、この時期は、それまで占領の延長として実施していた対沖縄政策を対アジア政策という「面」で捉え直した時期であった。 これらの空間的また時間的な連続性は、もちろん米国の対日政策ともリンクしている。これまでは対日政策の中で沖縄を捉える研究が主流だったが、「沖縄から日本を見る」という視点が提案可能である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウィルス感染症の影響で、史料収集に限界があった。そのため、これまでに収集した史料を読み直す作業および隣接領域における新文献の考察を行うことにした。これにより、新たな課題が見えてきた面もあり、それを次なる研究課題に繋げることができた。 本研究の主たる目的は、アイゼンハワー政権期における大統領府の一次史料を分析することにあった。近年の国内外の研究動向を見ると、対象時期は異なるものの大統領府の機能に焦点を当てた優れた研究が多く出ている。2021年度はこれらの関連する研究を読み込むことで、他の大統領期の事例を参考にしながら、米国の大統領府が沖縄政策に対してどのような役割を果たしたかという、本研究が当初より目的としていた視点を追求した。 これにより、国務省を主体とする米国の対日本(本土)政策と、国防省を主体とする対沖縄政策との相違点が明確になるとともに、その両者の調整機関としての大統領府の役割が明確になった。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究発表および雑誌論文を大幅に加筆・修正することで、本研究の成果を書籍として公表する準備を行う。そのために、再検討が必要な史資料を分析し直すとともに、中心的に分析した文書だけでなく、前後する文書類を検討し直すことで、中心的文書をその前後関係の中において、また、先行研究で示された理論的枠組みの上で位置づける。特に、アメリカ大統領府に関する国内外の研究動向をふまえ、アイゼンハワー政権期の対沖縄政策の特色を明らかにすることを目指す。 これまでの研究の中で、再度、一次資料に当たることで見えてきた部分もあった。このような再検討を行うとともに、本課題が当初目的としていた空間的・時間的分析対象を少し広げてみることで、つまり、新たな空間軸と時間軸を設定することで、本研究の成果に対する最終的考察を加える。 研究成果は、学術論文及び書籍として公表するだけでなく、メディア等を通して広く一般市民に対しても公表し、本研究の成果を還元できるようにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症の流行が継続したことで、米国国立公文書館の休館及び限定的な開館状況が続き、海外史料収集ができなかった。そのため、予定していた海外旅費を執行できなかった。次年度は海外渡航が緩和される見込みであるため、国内外の公文書館等の開館状況を見ながら、一次史料を再度確認する目的で海外出張を計画する。特に、昨年度、検討した新たな研究動向を踏まえ、前後資料の確認を目的とした作業を実施する。 また、すでに公表している雑誌論文に対して、さらなる考察を加え、本研究全体に対する最終的考察を行う。研究成果は学術論文としてだけでなく、広く一般市民に対する知見として公表できるようにする。
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