本研究課題の最終年度である2019年度は、6月30日から7月4日までニューヨークに赴いて、国連日本政府代表部、国連南南協力事務所(UNOSSC)、在ニューヨークエジプト大使館、G77事務局、国連開発計画(UNDP)政策プログラム支援局(BPPS)、国連開発協力フォーラム事務局(UNDCF)ならびに在ニューヨークバングラデシュ大使館にて、関係者へのインタビューを実施した。 UNDCFとGPEDCの関係を、このような多様なアクターへのインタビューを通して多角的に捉えた結果、G77はGPEDCでの三角協力ガイドラインに難色を示し、BAPA+40の成果文書においても情報の透明性や説明責任について異論を挟んで対立したことがわかった。これは専ら、ルール化による監視を嫌ったことが原因であった。また、GPEDCにはUNDPが大いに関わっているが、これはUNDP以外にキャパシティ・ビルディングをモニターできる機関が無いことから自然の成り行きであったとされる。しかし、OECD主導の動きに積極的に協力するUNDPに対して、G77からの批判が起こり、総会決議72/279においてUNDPに関わる一大改革が実施された。それは従来、途上国における常駐調整官をUNDPの常駐代表が兼任するという慣行を廃止し、事務総長のもとに開発オペレーション調整事務所(UNDOCO)を新たに設置するというものであった。これにより、途上国の現場において常駐調整官がUNDP寄りの資金配分を行うことができなくなったという。このように、GPEDCとUNDCFの関係性を考察していくなかで、UNDPの立ち位置が問題視され、国連開発システム全体に関わる制度改革が行われていることが判明した。
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