研究課題/領域番号 |
16K03531
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
柑本 英雄 日本大学, 法学部, 教授 (00308230)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ガバナンス / スケール / マクロリージョン / 領域的結束 / ドナウ |
研究実績の概要 |
国家領域を基礎構成単位としない「マクロリージョン」と呼ばれる新しい地域は、ファジーな境界によって囲まれた柔軟な領域規模を持ち、隣接領域と重なり合う部分さえ有する。 本研究では、ソフトなマクロリージョンがEUによって、領域的結束促進の政策容器として積極的に導入され、EU主導型のクロススケールガバナンスが形成されていることを明らかにする事を目的として、その先駆的事例として、欧州委員会地域政策総局が中心となって規範・ルール形成が進められている、ドナウ川流域の「EUドナウ戦略」について検証を進めている。 流域国家間のプラットホームとしてのドナウ委員会(Danube Commission)では、河川問題に限定され、「集水域」の包括的基本戦略を組み立てられず、EU主導の包括的枠組みが必要となった。国際河川委員会のガバナンスの問題点を規範形成の観点からの検証を続けている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
10月18日(水曜)、19日(木曜)に、ブダペスト(ハンガリー)において実施されたEUSDRに参加した。その際に、ドナウ委員会関係者へのインタビュー調査を行い、これまでの国際河川委員会のガバナンスの問題点を規範形成の観点から検証を行った。 また、立命館大学の田中宏先生の協力を得て、現地の研究員やEU関係者及びアドリア・イオニア海、アルプスの両マクロリージョン戦略担当者と議論することすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
ドナウ川集水域では、地方政府がEU主導の越境協力枠組みであるEGTCを設立しながら越境協力を促進し、結果として、国境の相対化がもたらされていることを実証するために、ドナウ川集水域の地方政府越境協力枠組みのEGTCを調査する。具体的には、BanatTriplex Confinium、Raba-Duna-VagなどのEGTC調査を実施し、欧州委員会と地方政府との連携を明らかにする。 あわせて、Centre of Regional Studies for the West Hungarian Research Institute (WHRI、ハンガリー)の Tamas HARDI上席研究員らと、3年間のドナウマクロリージョンのクロススケールガバナンス調査結果に基づいた最終的なモデル類型化の議論を行う。そして、ここまでの欧州研究調査と文献の検証で得られた知見から、EU主導型のガバナンス形成によって、EUの領域的結束が強化されていることの最終的立論の完成を目指す。更に、研究成果を和文および英文でまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた英文論文の翻訳を今年度に繰り越したため。
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