研究課題/領域番号 |
16K03534
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研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
葛谷 彩 明治学院大学, 法学部, 准教授 (90362558)
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研究分担者 |
板橋 拓己 成蹊大学, 法学部, 教授 (80507153)
小川 浩之 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (60362555)
小窪 千早 静岡県立大学, 国際関係学部, 講師 (00362559)
妹尾 哲志 専修大学, 法学部, 准教授 (50580776)
塚田 鉄也 桃山学院大学, 法学部, 准教授 (00551483)
西村 邦行 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (70612274)
春名 展生 東京外国語大学, 大学院国際日本学研究院, 講師 (20759287)
三牧 聖子 関西外国語大学, 英語キャリア学部, 助教 (60579019)
宮下 雄一郎 松山大学, 法学部, 准教授 (80711043)
森田 吉彦 大阪観光大学, 国際交流学部, 教授 (70459387)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 国際関係論 / 19世紀 / 歴史 / グローバリゼーション / 国際政治思想 / 外交史 |
研究実績の概要 |
本研究は、「国際関係論(IR)」が成立する以前(19世紀後半)から現在に至るヨーロッパ、アメリカおよび日本などの国際秩序構想およびそれに関する研究を、国際政治思想史と外交史の両面から比較検討することで、「IR」を批判的に検討し、これを補完するものである。具体的には、以下のような二重の意味での歴史への回帰により、これを行うことを想定している。1)国際関係を対象とする学知として誕生した「IR」が成立する以前の19世紀後半に遡って、「IR」を歴史的に相対化すること、2)国際関係を研究する方法としての歴史の可能性と限界を考察すること。 初年度の平成28年度は前回共同研究の知見と反省を踏まえて、論集の完成図を意識し、各自の研究を貫く背骨となるテーマの方向性の明確化に努め、研究体制のあり方と今後の研究の進め方についての話し合いを重点的に行なった。 具体的には、下記の通り、二回の研究会を開催し、上記話し合いに加えて、IRにおける歴史の位置づけに関するフランスの事例について、新メンバーの宮下雄一郎が報告した。 28年9月18日・19日(明治学院大学、以下同):論集『(仮)「アメリカの社会科学」を超えて:20世紀国際秩序観の再検討』の初稿のピア・レビューと、本研究を進めるに当たっての各自の意見の聴取。 29年4月1日:代表者葛谷による研究についての上記論点の提起と、それに対するメンバーのフィードバックと新たな課題の確認。報告者:宮下雄一郎「理論と対峙する国際関係論―フランスにおける潮流」
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度の平成28年度は前半を前回研究の成果としての論集『歴史のなかの国際秩序観―「アメリカの社会科学」を超えて』(本年5月刊行予定)の刊行準備に費したため、本研究のテーマついて掘り下げ、かつ共通理解を確立するまでには至らなかった。 ただし、1)IRが成立する以前の19世紀後半に遡って、国際関係を扱う学知と、その対象であると同時に現代国際秩序の原型となった、当時のグローバル化しつつある国際秩序の歴史を射程に入れて考察すること、2)社会学や経済学などの他のディシプリンとの比較を視野に入れた、国際関係を研究する方法としての歴史を考察すること、3)19世紀後半の国際関係や学知、方法としての歴史をテーマとしつつも、具体的には両者の何を問題にするのかを明確にする必要があり、それは各論考を貫く経糸(問題関心)を明確化する上でも重要であること、4)19世紀を対象としつつも、それ自体を対象とするか、あるいはそれを射程に入れて考察するかという論じ方については、各メンバーに任されることについて合意が得られ、課題も3)の通り明らかになった。 これに加えて、今後の課題としては、遅れを挽回するための研究会の運営の仕方や研究体制の確立が挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の進め方については、以下の通りを予定している。 平成29年度については、2回の研究会の開催を予定している。必要に応じて、うち1回を合宿形式での開催とすること、秋の国際政治学会の機会を利用した会合の開催も想定している。目的はテーマの明確化、すなわち19世紀後半以降の国際関係史をどこまで射程に入れるか(例えば、政治、経済、文化や人の移動など)、方法としての歴史の考察であり、具体的には、1)前回研究の論集の編集を担当したメンバー(葛谷、小川、西村)による関連文献レビュー(学説史、グローバルヒストリー、帝国史など)を行い、メンバーによるフィードバックを通じて、論集の序章のたたき台を構築すること、2)それに対する外部コメンテーターによるコメント、もしくは国際法やグローバルヒストリーなど国際関係論の隣接分野の専門家によるレクチャーを受けて、フィードバックさせることを想定している。 平成30年度についても、2回の研究会開催を予定している。目的は各論考の経糸となるたたき台を基とした各メンバーによる個別研究の深化である。具体的には、メンバーによる各論考の中間報告を行なう予定である。場合によっては、外部コメンテーターを招くことも想定している。1年ですべて行うことは困難であると思われるが、今後の論集刊行に向けた準備作業に入ることに意義があると考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
以下の3つの理由により、生じたと考えられる。 1)前年度の前半は前回研究の成果としての論集の刊行の準備に充てられたため、寄稿者以外のメンバー3名が不参加であった。2)前年度の2回目の研究会の開催が、メンバーの都合により、新年度(4月1日)にずれ込んだため、年度内の予算で消化されなかったこと。また新年度開始の時期の開催で、各大学の行事等と重なったことにより、4名のメンバーが欠席したことも影響した。3)研究協力者による研究費消化が予想外に少なかったこと。
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次年度使用額の使用計画 |
上記の理由を踏まえて、下記の通り使用を計画している。 平成29年度については、1)2回目の研究会において、外部コメンテーターの招致、場合によっては外部専門家の講演と研究会のオープン化、2)研究協力者による史料調査等への研究費の積極的使用の喚起を予定している。平成30年度については、1)メンバーの中間報告の機会を最大限確保するため、合宿形式の研究会の開催、2)外部コメンテーターの招致を予定している。
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