研究課題/領域番号 |
16K03540
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
市川 顕 関西学院大学, 産業研究所, 准教授 (80644864)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | EUエネルギー同盟 / EU政治 / 政治過程 / 脱炭素社会 / 再生可能エネルギー / 化石燃料 / EUガバナンス / 気候変動 |
研究実績の概要 |
2017年度の当該研究課題に関する研究活動としては、文献調査および現地調査に大別できる。 文献調査は現地文献、とりわけ現地新聞記事および現地調査で入手した文献を精査した。現地調査としては、7月デンマーク(コペンハーゲンにて欧州環境庁で主にEUエネルギー同盟に関する聞き取り調査、およびオーフスにてMHIヴェスタス社でデンマークにおける再生可能エネルギー政策とEUエネルギー政策との関連性についての聞き取り調査)、9月にポーランド(クラクフ経済大学のファカルティスタッフとEUエネルギー同盟に関する意見交換、およびイギリスEU学会(UACES)参加)で実施した。 この結果として、論文2本(市川顕(2018)「欧州エネルギー同盟の政治過程―2014年9月から12月―」『産研論集』第45号pp.57-68/市川顕(2017)「欧州エネルギー同盟の政治過程:エネルギー担当副委員長選出過程を中心に」『政策情報学会誌』第11巻第1号pp.57-64)を刊行することができた。また、研究のさらなる発展のため、学会発表3回(市川顕(2017.11.12)「ヨーロッパの目指す脱炭素社会」政治社会学会2017年研究大会/市川顕(2017.10.27)「欧州エネルギー同盟の政治過程―2014年を中心として―」日本国際政治学会2017年度研究大会/Akira ICHIKAWA(2017.4.1), “The Political Process of the EU Energy Union:from March to September in 2014-”, WISC(World International Studies Conference) 5th Conference, at National Taiwan University in Taipei)を行い、2018年度の研究へとつなげる実績を積むことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該研究は、おおむね順調に推移している。2019年3月刊行予定の藤井和夫(2019)編著『現代世界とヨーロッパ―見直される政治・経済・文化―』中央経済社に所収予定の論文(市川顕(2019)「EUエネルギー同盟の政治過程―2014年3月から9月を中心として―」)もすでに原稿を送付済みである。ただし、EUエネルギー同盟の政治過程については、いわゆる欧州複合危機(ユーロ危機、難民危機、BREXIT、ポピュリズムの台頭)の渦中にあり、最新動向についての原稿執筆まで間に合っていないのが現状である。 2018年度は2015年から2017年までのEUエネルギー同盟の状況を一時文献を丹念にあたることにより調査研究を進展させる。また、9月にはブリュッセル訪問を予定しており、最新情報を得ることが可能となる。 論文執筆についても、2-3本の論文の執筆を予定しており、着実に研究成果を世に問うことができると考える。 また、当該研究の成果が普及するにつれ、論文および学会発表のみならず、2017年11月の日本平和学会における討論者や、2017年5月のグローバル・ガバナンス学会における座長などの役務も依頼されることが多くなった。 また、兵庫県立長田高校(2017年12月)、千里国際高等学校(2017年12月)、関西学院高等部(2017年11月)、大阪府立北野高校(2017年11月)、尚美学園大学(2017年10月)などから講演を依頼された。 このことは、当該研究が周知されてきたことを物語っているものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度にあたり、これまでどおり詳細な一次資料の精査をもとに論文作成および学会発表を積み上げていくことを、第一の目標とする。また、要請があれば、研究成果を広く一般に普及させるために可能な限り講演依頼を受けることとする。 EUエネルギー同盟の構想自体はオンゴーイングのプロジェクトであり、その政治過程については理論的考察ができる段階にはないが、2017年9月のイギリスEU学会参加の折には、約8本のEUエネルギー同盟関連の報告があった。今後、政治過程の実証分析のみならず、理論的考察へ踏み込む時期が来ることが予想される。 当該研究は、最終年度である2018年度において、2017年までのEUエネルギー同盟の政治過程を精査することを目標としているが、他方で、理論的考察の選考研究にも目配せをする必要がある。さらには、複合危機下のEUにあって、流動的な政治状況を加味し、現地調査も欠かせない。 最終年度終了後、単著として一冊の本に研究成果をまとめるために、これまでどおりの研究手法(一時文献調査および現地調査)に加え、理論的考察部分をいかにして盛り込んでいけるかが課題となる。
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