研究課題/領域番号 |
16K03573
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
松野尾 裕 愛媛大学, 教育学部, 教授 (30239058)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 相互扶助 / 友愛 / 賀川豊彦 / 生活協同組合 |
研究実績の概要 |
本研究は、近代日本における相互扶助の思想と、そこから具体的に構想された生活改善・地域改善のための社会運動や事業活動に着目し、それらの歴史的経験が現代の思想状況の形成に如何に寄与しているかを解明することを目的として、平成28年度より5ヵ年計画で進めているものである。 第5年度の令和2年度は、新型コロナウイルス感染の全国への拡大のため、当初予定していたこれまでのフィールド調査のフォローアップ調査を中止せざるを得なかった他、学会開催の延期もあり、計画通りには進捗しなかった。そうしたなかで、これまでに発表した諸論文をまとめて、加筆・修正する作業を集中的におこない、それらを書籍として公刊する計画は、出版社の協力もあって、順調に進められ、単著『賀川豊彦-互助友愛の教育と実業』(龍渓書舎、2020年9月)を刊行した。 同書は3部構成で、第Ⅰ部 生活協同の構想(第1章 賀川豊彦の経済観と協同組合、第2章 信仰と社会改革(1)、第3章 信仰と社会改革(2))、第Ⅱ部 互助友愛の教育と実業(第4章 御殿場農民福音学校高根学園と食肉加工品製造の実践、第5章 グルントヴィと北海道酪聯の開拓者たち、第6章 「乳と蜜の流るゝ郷」)、第Ⅲ部 後を継ぐ者たち(第7章 岩手県摺沢の三愛塾運動、第8章 三浦所太郎と東北農業協会・東北ミッション、第9章 秋田県仙北市田沢湖神代柏林のクリスチャン集落)、総括に代えて(第10章 賀川豊彦と宮澤賢治)である。 これにより、先に刊行した編書『希望の経済-賀川豊彦生活協同論集』(緑蔭書房、2018年7月)と合わせて、本研究の成果として2冊の編著書を公刊することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(1)令和2年度に予定していたこれまでに実施したフィールド調査のフォローアップ調査と、それに関連する資料の収集を、新型コロナウイルス感染拡大によりやむを得ず中止した。(2)これまでの研究成果として既に発表した諸論文を加筆・修正し、最新の成果を盛り込んで単著として公刊したことは大きな成果である。(3)本研究は令和3年度へ1年の延長が承認されている。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度に実施できなかったフィールド調査のフォロー調査を実施して、研究成果を最新のところにまで改めて、本研究を締めくくる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していたフィールド調査のフォローアップ調査及びそれに関連する資料の収集・整理等が、新型コロナウイルス感染拡大により出来なかったため、未使用の金額が生じた。これらは、次年度に予定しているフォローアップ調査及び資料の整理のための備品購入等の経費として使用する予定である。
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