研究課題/領域番号 |
16K03577
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
若森 みどり 大阪市立大学, 大学院経済学研究科, 教授 (20347264)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | K.ポランニー / G.デイル / D.グレーバー / 宇沢弘文 / 制度主義 / 人類学 / ケア / コモン |
研究実績の概要 |
本年度は、カール・ポランニーの思想形成をハンガリー時代にまでさかのぼり、その思想の特徴を20世紀の知性史のなかに位置づけたギャレス・デイルの研究成果を公刊するプロジェクトの成果を踏まえた研究成果を公表した。また、2020年度が経験したパンデミックのなかでポランニーの思想の特徴やその現代的意義を、宇沢弘文の「社会的共通資本」とD.グレーバーの「ケア」の指摘や「基盤的コミュニズム」と関連付けて考察する研究を行った。 2020年度をもって、研究代表者が2016年から関わってきた、カール・ポランニーの思想形成をハンガリー時代にまでさかのぼりその思想の特徴を20世紀の知性史のなかに位置づけたギャレス・デイルの研究成果の共同の翻訳プロジェクトが終了した。コロナ・パンデミックのなかで国内外の出張が禁じられたが、デイルによって初めて明らかにされたポランニーのハンガリー時代での思想形成や20世紀の知性史研究のなかにポランニーを位置付けたデイルの研究の意義を還元すべく、複数の学会のプロジェクトとして行われた(いくつかは現在進行中の)辞典作成において、従来項目すらなかった「カール・ポランニー」についての執筆を行った。また、2020年度が経験したパンデミックのなかでポランニーの思想の特徴やその現代的意義を、宇沢弘文の「社会的共通資本」とD.グレーバーの「ケア」の指摘や「基盤的コミュニズム/コモン」における自由論と比較検討して考察する研究を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度をもって、研究代表者が2016年から関わってきた、カール・ポランニーの思想形成をハンガリー時代にまでさかのぼりその思想の特徴を20世紀の知性史のなかに位置づけたギャレス・デイルの研究成果の共同の翻訳プロジェクトが終了した。コロナ・パンデミックのなかで国内外の出張が禁じられたが、デイルによって初めて明らかにされたポランニーのハンガリー時代での思想形成や20世紀の知性史研究のなかにポランニーを位置付けたデイルの研究の意義を還元すべく、複数の学会のプロジェクトとして行われた(いくつかは現在進行中の)辞典作成において、従来項目すらなかった「カール・ポランニー」についての執筆を行った。また、2020年度が経験したパンデミックのなかでポランニーの思想の特徴やその現代的意義を、宇沢弘文の「社会的共通資本」とD.グレーバーの「ケア」の指摘や「基盤的コミュニズム/コモン」における自由論と比較検討して考察する研究を行った。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、第一に、宇沢弘文とD.グレーバーの思想的源泉になっているヴェブレンやモースの生きた時代の「制度主義」や「人類学」の知性史的背景と、国際経済秩序と平和に関するポランニー思想との共通性についての研究を継続する。それは、ポランニーの社会主義の理解を掘り下げることになる。より具体的には、公衆衛生や教育・文化の充実をめざす社会転換のための大規模な社会的インフラを投資するための財政改革と再分配政策を実現した、ヴェルサイユ体制下で唯一の例外的な≪赤いウィーン≫に対する、ポランニーの高評価の現代性を考察することになる。市場経済や資本による囲い込みに対抗する「社会創造」の可能性とその思想的源泉の再発見という視座から、本研究プロジェクトを総括したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度支出額のうち、「旅費」に計上している931,351円については、令和元年度の報告時に、「当該年度所要額(B)」欄の 「前年度までの実支出額からの戻入額」に、誤って令和元年度の直接経費額(※)を入力した。そのため、実際に戻入されていない931,351円が計上されており、金額調整の為、令和2年度の実支出額に計上した。 ※平成30年度報告の次年度使用額:431,351円、令和元年度の交付額(直接経費):500,000円 計931,351円 2019年度と2020年度は、体調不良とコロナ・パンデミックのなかで国内外の出張ができず、また、研究プロジェクトに関わる研究者を、海外はもちろん、大阪府外から招へいすることができなかった。また、昨年度延期を申請した理由から、感染拡大期には大阪府内にある勤務校で速やかに研究成果である刊行書籍の購入などができなかったことも、使用額変更の理由となっている。2020年度に公刊されたが未購入の研究成果(複数の辞典)、2021年度に刊行予定の研究成果(複数の辞典)などを購入する予定である。
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