研究課題/領域番号 |
16K03581
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研究機関 | 武蔵大学 |
研究代表者 |
舩木 恵子 武蔵大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (00409369)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 産業化 / 女性人口の移動 / 労働者階級と勤労思想 / 市場と非市場 / 女性の就労 / 女性と勤労思想 |
研究実績の概要 |
本年度の研究実績は学会や研究会での研究発表を中心に活動した前半の業績と、それを論文にまとめて投稿した後半の業績とに分けられる。 研究発表は、6月2日、マルサス学会第27回大会(於:釧路公立大学)にて「1850年代イギリスの人口変動とハリエット・マーティノゥの経済学」を発表した。海外での報告は、7月26日、イギリスのハル(Hull)にて開催されたマーティノゥ・ソサエティ・コンファランス(7月24ー27日)にてHarriet Martineau's feminist economics in"Female Industry"を発表した。次に8月26日、日本イギリス理想主義学会2017年度研究大会(於:同志社大学)にて「19世紀の知的推進者・ハリエット・マーティノゥと学問分野の起源」を発表した。また同じタイトルではあるが、研究会報告として、9月2日第2回近代勤労思想研究会(於:武蔵大学)にて報告をおこなった。内容については若干異なり、マーティノゥ研究の意義と今後の課題について述べた。 論文等の執筆活動については、6月に『武蔵大学総合研究所紀要』No.26に翻訳「女性の勤労」(ハリエット・マーティノゥの"Female Industry"<Edinburgh Review 1859に掲載された論文>の前半部分の訳)を掲載した。また、2018年6月発行予定の「マルサス学会年報」第27号に「1850年代イギリスの女性人口の移動とハリエット・マーティノウの経済学」(査読有)を掲載予定。また、武蔵大学経済学会『武蔵大学論集』(査読有)に「ハリエット・マーティノゥの経済思想―労働者の自立と社会のモラル」の掲載が決定している。 本科研の計画の一つ、「近代勤労思想研究会」については第3回を1月に実施し、次回は9月に開催することを決定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の前半は研究発表の準備に追われたが、発表の機会を得たことで、諸批判も含めて、様々な助言を得ることができて、結果として本年度後半の論文の執筆に多くのアイディアを与えられた。ただし執筆の作業は比較的スムーズにできたが、最終的に学会によって論文の形式が異なり、形式を整える作業にかなり手間取って多くの時間を費やしてしまったことは若干のロスでもあった。おおむね順調に進展しているという、表記の自己評価の意味は本研究の意図としては大きな発展があっても、論文執筆の作業においてはもう少し努力を重ねる必要があるという意味も含めている。 現在研究は拡散傾向にあり、研究の波及は決して間違ったことではないが、これを徐々に集約し、まとめる必要がある。特に本研究は経済思想や社会思想と大きくかかわるので、抽象的にならないためにも、本研究の特徴としては、具体的な証拠をあげて論じる必要がある。今後証拠をあげていくことによって内容的に集約できると考えている。集約させることによって、研究目的の存在が明らかになるので、今後まとめていく方向で研究への意識を高めていく。したがってそれが達成できれば研究目的が達成できることになるので、表記のようにほぼ順調に進展していると述べることができると考える。
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今後の研究の推進方策 |
現在ハリエット・マーティノゥの著作の翻訳を推進しているが、引き続き続けていく。また、論文執筆も引き続きおこなうが、この研究の成果を著作にする構想を具体化するように研究に当たっていく。マーティノゥ研究のテーマでもある「女性の勤労思想」をどのようにとらえるかを引き続き「近代勤労思想研究会」で議論していく。また、研究会に関してはアカデミックな関係者だけではなく、外部の方、女性の多い職種(たとえば介護、看護関係など)の方に加わってもらうとより有意義な研究が推進できると考えている。 研究計画の変更ではなく、むしろ目的達成への手がかりとなるかもしれない研究として、19世紀イギリスのユニテリアン思想研究および、J.S.ミルの宗教論研究も、次年度より本研究に加えて研究の推進を図る予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
英文の投稿論文に英文修正の依頼をおこなう予定だったが、投稿した学会の審査で不採用となったため、次回投稿する英文論文の修正費用にあてる予定である。
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