本研究において次のような点を明らかにした。(1)マーティノゥは古典派経済学の大衆化に成功した『経済学例解』以前のRioters(1827)の時点でリカードゥ経済学原理の3版での機械説同様の議論をすでに提供しており、マーティノゥの経済学における貢献は古典派経済学の普及だけにとどまらず、独自の労働観に基づくものがある。(2)また先行研究で旅行文学に位置づけられている作品に産業論としての内容がある。(3)女性労働について、「同一労働同一賃金」の概念や女性の再生産活動に対する価値評価などに現代経済学への議論的要素が見られる。
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