ミクロ経済学は一般均衡理論を軸として発展したと解釈されてきたが、エッジワースは、極限定理だけでなく、経済環境の包絡線構造などミクロ経済学の視点を広げる分析、さらに統計理論など、時代を先駆ける足跡を残している。しかし、彼の経済観の全体像は経済学史上統一的に明らかにされていない。そのためゲーム理論等を軸とした現代経済学の進展の思想的理解が深められていない。そこで、本研究は一般均衡モデルとは著しく異なるエッジワースの契約モデルの拡張性に注目し、現代のゲーム理論や統計学の展開において、エッジワースの果たした役割を明らかにするのと同時に、現代経済学の思想的、方法的理解を深めることをねらいとする。
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