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2020 年度 実施状況報告書

貨幣と国家に関する理論的および学説史的研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K03583
研究機関立教大学

研究代表者

大友 敏明  立教大学, 経済学部, 特定課題研究員 (90194224)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2022-03-31
キーワード中央銀行の独立性 / 中央銀行 / 地金論争 / 貨幣政策
研究実績の概要

本年度は、H.ソーントンとD.リカードウの中央銀行の独立性に関する研究を行った。「ヘンリー・ソーントンとイングランド銀行の独立性」の論文に関しては改訂版を作成した。また計画ではソーントンとリカードウの中央銀行論の比較研究を目指していたが、「リカードウと国立銀行の独立性」という論文の執筆に取り組んでいる。
「ヘンリー・ソーントンとイングランド銀行の独立性」の改訂の要点は、ソーントンがイングランド銀行の独立性を主張した理論的な意義を明確にした点にある。金融従属説を主張する論者は不換制下の銀行券を不換紙幣とみたので、兌換制への早期の復帰を提唱した。この説は貨幣支払いの約束を銀行券の信用の維持とみているが、ソーントンは兌換制下において銀行が負う債務は銀行の債務全体であって、貨幣支払いの約束だけではないとみていた。重要なことは、貸付債権の健全性であって、貸付債権による銀行への債務の返済である。このことを指摘したのがイングランド銀行の独立性である。
リカードウの国立銀行の独立性に関しては、イングランド銀行が金融従属の立場をとっていたことは1824年の『国立銀行設立試案』のなかでも示されている。リカードウはこの金融従属説を克服するために国立銀行の設立を唱えた。リカードウが示した国立銀行の独立性の根拠は、第1に発券業務と銀行業務を分離し政府貸付を禁止し、第2に貨幣供給は政府証券の売買による公開市場操作を通じて行い、そして第3に正貨兌換を復活させたことである。リカードウは国立銀行の独立性を論じることで、金融と財政を分離し、貨幣価値を維持する方策を示した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

論文の完成が遅れている。英訳の改訂作業に時間を要しているためである。

今後の研究の推進方策

第1に「リカードウと国立銀行の独立性」の論文を完成させる。第2に「ステュアートの貨幣論」の論文作成を継続する。

次年度使用額が生じた理由

英訳の改訂作業に想定以上の時間を要しているため、論文の完成が遅れている。2021年度に英文校正費を支出し、論文を完成させる。

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公開日: 2021-12-27  

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