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2021 年度 実施状況報告書

貨幣と国家に関する理論的および学説史的研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K03583
研究機関立教大学

研究代表者

大友 敏明  立教大学, 経済学部, 特定課題研究員 (90194224)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2023-03-31
キーワード中央銀行の独立性 / 中央銀行 / 地金論争 / 貨幣政策
研究実績の概要

本年度は「ヘンリー・ソーントンとイングランド銀行の独立性」を法政大学経済学部学会『経済志林』第89巻第3号、2022年3月号に発表した。また「D.リカードウと国立銀行の独立性」という論文の執筆に取り組んだ。「ヘンリー・ソーントンとイングランド銀行の独立性」の論文の要点は次の通りである。ソーントンはイングランド銀行の独立性を制度としての独立性と手段としての独立性という2つの観点から説明した。制度としての独立性は3つある。(1)イングランド銀行と政府との関係は通常の債権債務関係である。(2)政府は減債基金制度を整備し国債の信用を維持する。(3)銀行券の数を議会に公表する。こうした制度の基礎の上に、ソーントンはイングランド銀行の裁量的な貨幣政策を示した。為替相場が持続的に下落し金が対外流出する場合には、同行は貸付総額の割当政策を行い、政府貸付と商業貸付の割り当てを週ごとに調整する。貸付総額の大枠を調整するためには、地金の鋳造価格を検証基準にして行う。このようにソーントンはイングランド銀行が政府の意向から自立して、ロンドンをはじめイギリス全体の流通に貨幣を供給する公共の責任を十全ではないけれども示し得たのである。「D.リカードウと国立銀行の独立性」の論文に関しては、次の改訂を行った。第1にイングランド銀行の政府への従属論を改訂した。リカードウはイングランド銀行と政府との間には「緊密すぎる結合」があると述べ、この結合は同行が政府から預かった租税すなわち政府預金を政府に貸し付けて利子を稼いでいることを内容とする。リカードウはこれを不合理な結合であると批判した。第2に国立銀行券を地方にも流通させる発券集中の体制を構築すべきであるという提案を付け加えた。



現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

論文の完成が遅れている。関連文献の読解に時間を要しているためである。

今後の研究の推進方策

第1に「D.リカードウと国立銀行の独立性」の論文を完成させる。第2に「J.ステュアートの貨幣論」の論文作成を継続する。

次年度使用額が生じた理由

関連文献の読解に時間を要しているため、論文の完成が遅れている。2022年度に読解を完了し、論文を完成させる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] ヘンリー・ソーントンとイングランド銀行の独立性2022

    • 著者名/発表者名
      大友 敏明
    • 雑誌名

      経済志林

      巻: 89巻3号 ページ: 77ー122

    • オープンアクセス

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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