研究実績の概要 |
これまで調査してきた、17世紀イングランドにおける経済問題、とくに漁業、低利子率、銀行設立、公的土地登記所の設立をめぐる4つの論争が、いずれも当時のヨーロッパにおける相対的先進国であったオランダをモデルとして模倣し、そしてさらにはそれをイングランドに適した形に調整していこうという議論であったことに着目し、こうした視点からこれらの検討結果を英文著作としてまとめることを目標としてきた。平成28年には、この著作で最初に扱われる漁業についての論争が、16世紀末の海軍と帝国をめぐる論争に端を発していたことをさぐりあて、'Fishery or Navy: the beggining of the century-long controversy'として原稿にまとめ、国内の研究会で報告した。平成29年には、ここでの議論を踏まえて改良した原稿を、ヨーロッパ経済思想史学会(ESHET)で報告した。また、これらの研究と並行して、平成28年3月に国内の研究会で報告したbook proposalの改良を繰り返し、平成30年のESHETの前にファイルをダブリン大学のA. Murphy教授に送り、大会で面会した際に詳細なコメントをいただいた。それを踏まえてさらに改良し、本科学研究費と経済学史学会からの補助金の利用によりこのbook proposalと本文全体を、専門の業者によって英語校閲を済ませた。その後、平成30年夏に英国の出版社にbook proposalを送ったが、年末に不採用の通知をうけ、その後別の英国の出版社に送ったがこれも年度末に不採用の通知をうけた。平成30年のESHETでは、この著作の銀行の論争のその後の展開について論じた原稿を、'The land bank united, a faild project'としてまとめ、報告した。
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