本研究の目的は,シミュレーションに基づくベイズ法による富裕度と貧困度の計測手法の開発とその経済データへの適用である.富裕度と貧困度を計測することで,所得分布の両裾の特徴を捉えることになり,経済格差の研究に新たな貢献ができると考えた.貧困度に比べて,富裕度の推定は近年になって研究が行われ始めた新しい分野であり,ベイズ法によって富裕度の推定を行った文献も殆どないため,本研究は新たなベイズ法による分析手法を提供することとなった.また,本研究では,わが国ではまだ馴染みの薄いZenga指標を紹介するとともに,Zenga曲線を用いた新たな富裕度指標及び貧困度指標を開発した.
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