最終年度で新たに1本の論文を掲載した。研究期間全体を通じて論文を5本作成し、その内の2本を学術誌に掲載した。残りの3本に関して国際学会などで報告し、投稿や投稿の準備をしている。 成果の中の非線型回帰モデルの平均法に関する研究は非ベイジアンな方法で、既存研究より広い適用範囲を持っている。変数だけではなくパラメーターに関しても非線形なモデルにも適用できる。ファクターや関数型の選択にその研究成果を利用して、実証研究として経済データの共通ファクターによる経済指標の予測を検討した。この研究で構築したモデル平均法のための情報量基準にモデルの関数型の複雑さに関するペナルティを導入したため、既存の方法より優れたパフォーマンスをもたらした。論文ではモデル平均法の最適性などの理論的性質を証明した。さらに、シミュレーション実験で有限標本での優れた性質を明らかにし、賃金の予測に関する実証研究でその精度の高い予測能力を示した。 また、研究成果の中の3本の論文はGARCH型モデルのモデル平均法の開発に関するものであり、金融市場の予測に貢献している。論文ではモデル平均法の性質を厳密に証明し、さらに実際の金融データを用いてその有用性を検証した。更に研究期間の最終年度で既存のモデル平均法の高次元データに適用する場合のモデル平均のウエイトのスパース性を証明し、モデル平均法を高次元データに利用できるように、高速な新しい計算アルゴリズムを開発した。この研究によりモデル平均法の適用範囲が大きく広がった。より大量に候補モデルを平均法に取り入れることを実現した。コンピューターのスペックによって異なるが、シミュレーションの結果では同じ条件で候補モデルの数は1万前後より10数万までに増やすことができる。以上のように研究期間中モデル平均法の分野で幅広く成果を出している。
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