研究課題/領域番号 |
16K03608
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
池本 幸生 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (20222911)
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研究分担者 |
松井 範惇 帝京大学, 経済学部, 教授 (50278438)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ソーシャルビジネス / 社会的包摂 / タイ / ベトナム / マイクロクレジット / スペイン / コーヒー / 有機農業 |
研究実績の概要 |
近年、ソーシャル・ビジネスによって貧困削減を図ろうとする試みが世界各地で行われているが、その試みが成功するかどうかは社会的包摂がうまく進むかどうかにかかっているというのが本研究の仮説である。もともと本研究はバングラデシュのグラミン銀行のマイクロクレジットの研究から出発し、グラミン銀行がスペインで実施しているマイクロクレジットを調査した結果、社会的包摂がキーワードであることを確信したことによる。その仕組みを明らかにするために事例研究として、タイとベトナムにおけるコーヒー栽培を通した少数民族の貧困削減プロジェクト、韓国とベトナムにおける有機農業、スペインにおけるマイクロクレジットの研究を行なってきたが、本年度からマラウイにおける調査も追加して行なっている。 この研究を遂行するために、2017年度には、2017年9月9日から17日にかけて韓国から金氣興氏、2017年9月10日から19日にかけてタイからナリサラ・チャルーンパン氏を招へいし、東京にて研究会を開催するとともに、岡山での果樹栽培を通した農村振興策を調査した。研究会では、チャルーンパン氏がタイのドイトゥンコーヒープロジェクトに関する調査結果について、金氏が韓国における有機農業の最近の動向について報告した。 共同研究者である松井範惇氏は2017年12月22日から2018年1月4日にかけてマラウイで「貧困削減のためのマラウイ家計調査の実施、分析」に関する現地調査を実施し、南部のピンガンジラ村とカピエピエ村において合計60世帯の家計調査を実施し、家計の職業、所得、健康と保健、教育を中心にデータを収集した。 2018年2月14日には東京で研究会を開催し、松井氏がマラウィ調査の報告、坪井氏がスペイン調査の報告を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、タイ、ベトナム、スペインでの調査を中心に行ってきた。本研究がスタートした時点ですでにタイとベトナムにおける少数民族によるコーヒー生産と社会的包摂について研究を進めてきており、現地共同研究者との研究協力体制も構築されており、研究は順調に予定通り進んでいる。また、スペインにおけるマイクロクレジットを活用した社会的包摂の研究については、予定通り調査を行ない、その取りまとめを行なっている。マラウィでの調査は当初の計画にはなかったが、本研究の趣旨に合うことから調査を開始した。すでにデータの収集は終わっており、これからその分析に取り掛かるところである。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度は最終年度にあたるため、成果の取りまとめを行う。タイとベトナムについては池本が現地共同研究者とともに論文にまとめていく。スペインのマイクロクレジットについては坪井氏が現地研究協力者であるヌズル氏とともに論文にまとめていく。マラウィについては松井氏とともに倉田氏の二人が計量分析を進め、論文にまとめていく。 最終成果についての発表と意見交換については2018年9月に東京で開催する予定であるワークショップにおいて行ない、その成果を取りまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度に研究分担者である松井範惇教授によってバングラデシュ調査を実施する予定であったが、当初予定になかったマラウイ調査を実施したため、バングラデシュ調査は平成30年度に実施することとした。そのため次年度使用額が生じたが、それは平成30年度に支出する予定である。
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