研究課題/領域番号 |
16K03610
|
研究機関 | 敬愛大学 |
研究代表者 |
根本 敏則 敬愛大学, 経済学部, 教授 (90156167)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 交通経済学 / 高速道路 / 料金政策 / 首都圏 |
研究実績の概要 |
2-2 ターミナルチャージの徴収方法変更に関する分析 平成28 年度に開発した新料金の社会的余剰分析モデルを基に、ターミナルチャージの徴収を1度にし、シームレスな料金(複数の会社、道路をまたがって利用しても連続的に変化する料金)を実現した場合の社会的余剰を推計した結果、若干ではあるが社会的余剰が増加したことが確認された。 2-3 対距離単価均一化に関する分析 2-2 の条件に加えて、首都圏内の高速道路で「均一対距離単価」を設定した場合の社会的余剰を求める。「同一起終点同一料金」という原則の下、首都圏の高速道路ネットワークを想定して、各OD(起終点)間の交通需要予測と交通配分を仮定し、社会的余剰の推計を行ったが、同じく社会的余剰は増加した。 2-4 混雑料金課金時の経路選択行動分析 道路ネットワーク構造の変化は、渋滞による損失時間にも影響を与える。その変化は、最適な混雑料金の導出にも影響を与えるはずである。そこで、将来の最適混雑料金の導出のために、以下の5 つのケースの分析を行う。ケース1:10 年前の道路ネットワーク(貧弱)、且つ現状同様に事業者ごとに料金体系が異なる。ケース2:現在の道路ネットワーク且つ、料金体系一体化(平成28 年度)前。ケース3:現在の道路ネットワーク且つ、料金体系一体化(平成28 年度)後。ケース4:将来の道路ネットワーク(三環状道路完成時)で、料金体系一体化後。ケース5:ケース4+最適混雑課金を追加導入した場合。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画どおり、社会的余剰の導出モデルを開発(平成28年度からの継続課題)。 ターミナルチャージの徴収方法変更に関する分析として、高速道路会社毎に徴収されるターミナルチャージを1回限りとする料金政策の評価を行った。 さらに、混雑料金課金時の経路選択行動を再現し、以下のケース1~ケース5についてシミュレーション分析により料金政策を評価した。ケース1:10年前の道路ネットワーク(貧弱)、かつ現状同様に事業者ごとに料金体系が異なる。ケース2:現在の道路ネットワークかつ料金体系一体化(平成28年度)前。ケース3:現在の道路ネットワーク且つ、料金体系一体化(平成28年度)後。ケース4:将来の道路ネットワーク(三環状道路完成時)で、料金体系一体化後。ケース5:ケース4+最適混雑課金を追加導入した場合。
|
今後の研究の推進方策 |
3.マネジメント手法に関する提言 短期的・中期的料金施策の技術的実現可能性、利害関係者の社会的受容性を検討する。ITS(高度道路交通システム)の技術的な進歩によって、道路混雑の管理と混雑料金の提示・徴収手法も高度化している。 混雑料金の設定形態(定期見直し、ダイナミックロードプライシング)によってマネジメント手法が異なるが、複雑な首都圏の高速道路のネットワークにおいても技術的な問題は解決できると思われる。 しかし、料金制度を変えるためには首都高、NEXCO 東・中だけでなく、高速道路保有機構、国・地方自治体の関連する制度の見直し、調整が必要となる。また、社会全体としては正の効果があるとしても、これまでより負担増となる道路利用者が生まれることを考慮した、激変緩和措置、補償措置などについて検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
計画していた海外での研究発表の日程が本務の教育指導と重なったため、繰越が生じた。
(使用計画) 平成29年度の繰越金と合わせて、ITS WORLD CONGRESS 2018コペンハーゲン(デンマーク)9月17日-9月21日において、「首都圏高速道路における料金体系の評価」をもとに3年間の集大成としての研究成果の公開を行う。
|