研究実績の概要 |
本研究の目的は,行動経済学の知見に基づき,望ましい国際的経済援助の在り方について,経済理論的観点から解明することにある.具体的には,援助国・被援助国に存在する利他性,互恵性,習慣形成や,援助効果についての認知バイアスを考慮し,実効性の高い国際援助はどうあるべきかを考察するための,理論的フレームワークを提供し,効果的な経済援助を考察することを目指している.平成29年度は,上記のテーマに関して,以下の通り,海外学会での研究成果報告1件と,査読付きの国際雑誌への論文掲載3本の研究実績を,平成29年度の成果として挙げることができた. はじめに,[1] Hamada, Shinozaki, and Yanagihara (2017a)は,2017年5月17日から20日にかけて台湾台南市,國立成功大學にて行われた,Regional Science Association International主催のPRSCO 2017, 25th Pacific Conference of the RSAIにて,論文報告が行われた. 続いて,3本の論文が査読付き雑誌に掲載された,または掲載予定である. [2} Hamada, Kaneko, and Yanagihara (2017)は,国際援助の有効性が社会保障制度の導入に伴いどのように影響を受けるかについて,詳細な検討を行った.[3] Hamada, Shinozaki, and Yanagihara (2017b)では,援助国や被援助国の国民が世代間で親世代の生活に憧れを持つ習慣形成が存在する状況を考察した.[4] Hamada, Kaneko, and Yanagihara (2018)は,世代重複モデルの下で内生成長を扱い,金融セクターが不完全競争している状況で,銀行部門の寡占の程度が経済成長率にもたらす影響を考察した.
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