研究課題/領域番号 |
16K03629
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
高塚 創 大阪市立大学, 大学院経済学研究科, 教授 (50304572)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 温暖化ガス排出税 / abatement / 二国間格差 / 可動資本 / 最適関税 / 関税競争 |
研究実績の概要 |
今年度はまず,CES型効用関数と固定的労働供給を仮定する基本モデルを用いて温暖化ガス排出税の分析を行った.近年の研究によれば,“I will if you will” アプローチとも呼ばれる「共有コミットメント(common commitment)」に基づく協力戦略が,協力行動を促進させることを明らかにしている.これは,「単一」の排出税に関係国がコミットするよう交渉を進めることが,地球温暖化問題を解決する有力な候補手であることを意味している.本研究では,サイズのみが異なる二国が単一の排出税を導入した場合,二国間格差にどのような影響を及ぼすかを分析した.また,その際,温暖化ガスの排出を抑制するために労働や資本を用いるabatement行動の可能性も考慮した.その結果,排出税を導入しない場合と比較すると,単一排出税の導入は必ず大国の企業シェアと厚生を増大させ,格差を拡大させることが分かった.これは,先進国のような似通った国同士であっても,単一排出税の導入は困難であり,適切なトランスファーが必要であることを示唆している.以上の研究をとりまとめ,国際査読付き学術誌に投稿し,修正要求を頂いた.現在,3回目の改訂を終え,再投稿している段階である.次に,過年度に行った可動資本が存在する場合の最適関税・関税競争に関する論文については,国際査読付き学術誌に投稿し,修正要求を頂いている.現在,修正要求に基づき,外資流入に対する制御を考慮した形で再分析を行っているところであり,来年度中には同学術誌に再投稿する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本来当該研究は2019年度までの計画であったが,研究代表者が2019年度に研究機関を移動したことにともない当該研究以外の業務が多々発生したため,進捗がやや遅れている.そのため,研究期間を1年延長している.
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今後の研究の推進方策 |
可動資本が存在する場合の最適関税・関税競争に関する論文について,外資流入規制策(外資課税など)を同時に考える場合について分析を行っていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
本来当該研究は2019年度までの計画であったが,研究代表者が2019年度に研究機関を移動したことにともない当該研究以外の業務が多々発生したため,進捗がやや遅れている.そのため,研究期間を1年延長し,次年度使用額が生じている.
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