研究課題/領域番号 |
16K03630
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
実積 寿也 九州大学, 経済学研究院, 教授 (20325690)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | スマート社会 / ブロードバンドエコシステム / OTT / ネットワーク中立性 / 産業政策 |
研究実績の概要 |
ネットワーク中立性問題に関するわが国のこれまでの状況を理論的に整理し、モバイル化が進むことで引き起こされたブロードバンド産業構造の変化の影響とその政策的インプリケーションについて、米国バージニア州で平成28年9月に開催された学会(TPRC2016)で報告し、同様の状況に直面している先進国市場において構築すべき政策フレームワークに関し、諸外国の研究者や政策担当者と意見交換を行った。本報告については報告賞が授与され、高い評価を得たと認識している。 海外における関連政策の動向については、ネット調査や主に国内の研究者との意見交換を多用して情報収集に努め、産業構造の違いが政策形成に及ぼす影響について考察を深めた。とりわけ、政権交代により大きな変化が見込まれる米国の状況については、平成28年9月の米国訪問時に日本大使館担当者および現地の研究者と意見交換を行ったことに加え、平成29年2月にコロラド州で開催されたシンポジウム(The Digital Broadband Migration Conference: Evaluating the First Principles of Information Policy)に参加し、FCC前委員長の講演を聴講するとともに、米国の研究者らと意見交換を行うなど、活発に情報収集を行った。 ゼロレーティング問題の取り扱いについて大きな課題となる途上国におけるネットワーク中立性政策状況については、文献調査等で情報収集を行った。平成29年度以降も引き続き情報を収集していく予定である。 ネットワーク中立性問題に関するブロードバンド利用者のリテラシーについて現状調査を行い、研究会等の場で報告を行った。さらに、同調査ではブロードバンド事業者が行う回線品質制御に関する消費者の評価についての情報も収集しており、これについては平成29年度に報告を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度交付申請書の研究実施計画に沿って概ね進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
理論モデルの精緻化については、事業者ヒアリングや消費者アンケートを通じて市場の実態調査を行うことで研究を進める。 先進国における「ネットワーク中立性」原則の位置づけの調査については、大きな変化が近々にも予想される米国に注目して、現地調査を含めて対応する。 途上国の政策状況については、文献調査を継続するとともに、現地調査やヒアリング調査の可能性を追求する。 中間成果の報告については、学会・研究会・シンポジウム等における口頭報告や論文投稿を通じて積極的に対応する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ネットワーク中立性に関する行政府の事前関与を強める傾向を追求してきた民主党政権から、市場メカニズムの活用による中立性原則の維持を進めようとする共和党政権に政権交代が実現した米国の状況を踏まえ、調査対象や項目の変更が予測されたため、その検討時間を確保すべく予算執行を翌年度に繰り延べた。
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次年度使用額の使用計画 |
現地調査やヒアリング、研究成果発表、必要に応じてアンケート調査などを行う予定である。
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