研究課題/領域番号 |
16K03631
|
研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
竹村 敏彦 佐賀大学, 経済学部, 准教授 (00411504)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | IoT / 情報セキュリティ / プライバシー / FinTech / セキュリティエコノミクス / セキュリティ教育 / 行動経済学 / インターネット調査 |
研究実績の概要 |
本研究では、実施するアンケート調査によって収集された個票データを用いて、個人や企業の情報セキュリティなどに関する行動モデルの構築、その検証を行う。その分析結果から、有効かつ実現可能なエビデンスベースによるIoT社会における情報セキュリティならびに情報通信政策について示唆を与えることを目的とする。 本年度は、竹村(研究代表者)がこれまで収集・蓄積した調査データを用いて、1) IoTのサービス利用に関する実証分析、2) 企業に属する従業員の情報セキュリティ意識・行動に関する分析、を行った。1) に関して、IoTサービスの利用意図に利便性、プライバシーリスク認知、セキュリティ認知が直接的、間接的に影響を与えるモデルの構築を行い、その結果、提供されるサービスの内容(ここでは、医療サービスや防犯サービス)によって、3つの要素間の関係が異なることを明らかにした。2) に関して、情報セキュリティ意識や情報セキュリティの観点から問題となる行動(セキュリティポリシー違反など)に影響を与える要因の探索を行い、コンプライアンス意識等の向上とともに、職場環境の改善を行う必要性についての示唆を与えた。また行動によっては違反したときに厳罰化を行っても必ずしも有効に機能しないケースがあることを指摘した。これに加えて、IoTサービスと密接に関連するFinTechについての整理も行った。 これらの分析結果を踏まえて、これまで竹村が実施してきたアンケート調査票をベースとし、そこにプライバシーに関する質問、行動経済学的指標を図るための質問などを追加し、2017年3月に企業の従業員を対象とした調査を実施した。この結果の速報は竹村のウェブサイトで公開し、分析結果については順次公開していく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
過去に収集・蓄積したアンケート調査結果を用いた実証分析、またIoTサービスと密接に関連するFinTechについての文献調査などを行い、それを論文としてまとめることができた。また、アンケート調査についてもいくつか最新トピックを踏まえて実施することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、2017年3月に実施したアンケート調査の個票データを用いた実証分析を行い、それを学会等で報告していく。そして、その後、査読付学術誌への投稿を目指す。また、これらの分析結果や国内外の先行調査を踏まえて、調査項目の改定等を行い、再度アンケート調査を実施する。これらの研究の推進に際しては、実務家を交えた公開研究会を開催するなどにより、研究成果をより広く公開を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
申請当初はアンケート調査を2種類実施する予定であったが、想定以上の調査費用となり、2種類を実施するといずれも質問数・回答者数を十分確保できない可能があり、平成28年度は調査を1種類のみ行うこととした。
|
次年度使用額の使用計画 |
生じた繰越額は、次年度に雇用する分析補助のアルバイトのためのパソコンならびに調査の内容の充実に利用する予定である。
|
備考 |
研究会報告(竹村敏彦「地方都市における労働者の情報セキュリティ行動・意識に関する実証分析」第1回CRES Workshop(於 佐賀大学)12月21日) 竹村敏彦「現場無視の対策に落とし穴 適切な対応で生産性も上がる~セキュリティー対策と行動経済学」日経ビジネス(2017年1月23日号), 80-81
|