研究課題
本研究では、実施するアンケート調査によって収集された個票データを用いて、個人や企業の情報セキュリティなどに関する行動モデルの構築、その検証を行う。その分析結果から、有効かつ実現可能なエビデンスベースによるIoT社会における情報セキュリティならびに情報通信政策について示唆を与えることを目的とする。本年度は、竹村(研究代表者)がこれまで実施し、収集・蓄積した調査データを用いて、1) 労働者の情報セキュリティ意識および行動に関する分析、2) IoTと密接に関するフィンテックサービスに関する分析などを行った。1)に関して、プライバシー情報の価値の測定をコンジョイント分析によって行った。その結果、属性として用いた「慰謝料」「精神的被害」「実被害」および企業の対応の係数はいずれも統計的に有意となり、それぞれのコンジョイントカードで設定されている選択肢の効用に影響を与えていることがわかった。さらに、限界支払意思額を計算したところ、精神的被害を貨幣価値で測ると約15486円、実被害については約37407円になることなどが明らかになった。2)に関して、QRコード決済サービスについての技術受容モデル(TAM)に基づく分析を行った。その結果、QRコード決済サービスに関するTAMの妥当性が示されるとともに、本研究における分析モデルの構造は概ね異なることはなかったが、利用意図に影響を与える要因の影響度合いが地域別・年齢層別によって異なることなどを確認している。3)に関して、地方銀行のFinTechサービスへの取組みが株価に与える影響についてFF5モデルを用いて検証を行った。その結果、フィナンシャルグループ・ホールディングス傘下にある銀行とそうでない銀行に分けた分析結果から、平均超過リターンに関してニュースリリースからしばらくしてから現れることなどを確認することなどを明らかにした。
竹村敏彦「セキュリティエコノミクスとは何か? セキュリティを経済学で考える」ISACA福岡支部11月度勉強会(2018年11月17日)
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CRES Working Paper Series
巻: No.FY2018-01 ページ: 1-14
巻: No.FY2018-01 ページ: 1-18
ICES Discussion Paper
巻: No.18-J-001 ページ: 1-10
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