本研究は,社会資本整備のストック効果を,都市雇用圏と非都市雇用圏の関係に注目しながら,地域の持続可能性の観点で評価することを目的とする。資本について,持続可能性の観点から包括的富(新国富)の概念を用いて自然資本および人的資本についてデータを検討し,地域の単位として住宅立地論と整合的な都市雇用圏を用いた。この枠組みに基づき,地域の人口変化に広義の資本がもたらす効果について分析し,生産力効果(賃金)とアメニティ効果(消費)の乖離を活用して,地域の生活の質(QOL)を実証的に評価した。この指標に対する都市圏および非都市圏の広義の資本の効果を推定することで,地域の広義の資本を評価する枠組みを提示した。
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