研究課題/領域番号 |
16K03637
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研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
川勝 健志 京都府立大学, 公共政策学部, 准教授 (20411118)
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研究分担者 |
RUDOLPH Sven 京都大学, 経済学研究科, 特定准教授 (20737407)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | カーボンプライシング / 北米の炭素市場 / カナダ / ブリティッシュ・コロンビア州 / 炭素税 / 環境税制改革 / 北米西部地域排出量取引制度(WCI) |
研究実績の概要 |
本年度は、初年度の研究計画に掲げた2つのテーマ(①なぜカナダでは連邦レベルでは炭素税の導入に失敗し、州レベルでは成功したのか、②炭素税の導入と引き換えに減税される税目として、なぜ個人及び法人所得税が選択されたのか)に取り組んだ。具体的には、関連文献・資料のサーベイを行うとともに、研究分担者とほぼ月に一度のペースでミーティングを行い、互いの進捗状況や現地調査に必要な情報の報告、意見交換を行った。 そのうえで、10月末~11月にカナダのブリテイッシュ・コロンビア州財務省及び環境省を訪ね、担当者から同州で導入されている炭素税を中心とする税制改革と北米西部地域排出量取引制度(WCI)への参加に関するヒアリング調査及び資料収集を行った。また、同テーマの研究に深い見識をもつビクトリア大学及び太平洋気候解決策研究所の研究者等とも意見交換・議論を行い、上記2つの研究テーマで提起した問題を明らかにするために必要な情報や資料を得られたことが、本年度の主な研究成果の1つである。とりわけ、本研究の計画当初には想定していなかったこととして、カナダ連邦政府が昨年10月に国内すべての州・準州に2018年までに炭素税または排出量取引制度の導入を求める計画を公表した影響について情報や資料を得られたこと、関係者と意見交換できたことは、本研究の計画に新たに加えるべき重要課題として認識できたという意味で、極めて有意義であった。 もう1つの研究成果として挙げられるのは、9月にオランダで開催された「第17回環境税国際会議」において、研究分担者と北米の炭素市場に関する報告を行うとともに、参加していた世界各国のカーボンプライシング政策に関する研究者等と議論できたこと、研究ネットワークの強化を図れたことである。同会議で共同報告した内容をまとめた論文は、同会議の研究叢書に投稿し、すでに掲載が決定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は3年計画で当初1年目の計画として掲げた2つの研究テーマについて、「研究実績の概要」でも述べたように、ほぼ計画通りに取り組み、その成果についても一定得られたからである。 本年度行った関連文献のサーベイや現地調査で得られた情報や資料等に基づいた成果については、国内外の学会や学術雑誌等で公表すべく、すでに共同研究者とその準備を進めていること、次年度の計画で掲げている研究テーマに関する文献や資料のサーベイ、現地調査の下準備についても着手し始めていることから、現在までの進捗状況は概ね順調といえる。
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今後の研究の推進方策 |
カーボンプライシング政策の特に理論的側面の研究強化を図るために、研究分担者の研究ネットワークを活用し、昨年11月にドイツのヘッセン教育大学教授のAchim Lerch氏と研究交流を行い、本研究プロジェクトに連携研究者として加わって頂けないかを依頼し、承諾を得た。 同氏には、研究代表者及び研究分担者が関連文献・資料のサーベイヤ現地調査で得た情報や資料を共有し、必要に応じてメールやスカイプ、場合によっては直接ドイツを訪問し、常に研究協力が得られる体制を整えて、本研究の課題をこれまで以上に推進していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品購入費に若干の使用残がある。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に必要な書籍など物品購入費に使用する予定である。
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