研究実績の概要 |
今回のプロジェクトで実施した研究によって、選挙制度に係る要因が自由貿易協定に対する政治家または候補者のポジショニングにどのような影響を与えるのかについて知見を得ることが出来た。
(1)選挙制度と自由貿易協定の交渉の進捗状況が、国政選挙の候補者の自由貿易協定に対するスタンスにどのような影響を与えるのかについて、2013年と2016年に実施された参議院選挙をケースとして用いて実証分析を行った。選挙での勝利を目指す候補者のTPP協定に対する選挙公約は、地元選挙区の経済的利害などをコントロールしてもなお、どのような選挙区制に出馬しているのかということとTPP交渉妥結する前か妥結した後かという時期の違いによって影響を受けることを示した。この研究成果は、“Electoral rules and free trade agreement as a campaign issue: The case of political disputes over the Trans-Pacific Partnership in Japan ”という論文にまとめた。
(2) TPP協定に対する国会議員の行動が選挙制度の違いの影響をうけるかについて分析を行った。衆参両院の国会議員がTPP協定に対して反対の立場に立つかどうかは、地元選挙区の経済的利害や政治家自身の属性などをコントロールしてもなお、選挙区の大きさ、選挙区制度の違い、次の選挙までに残された任期の長さに左右されることを実証分析によって示した。この研究成果は“Constituency size, election proximity, special interests and a free trade agreement: The case of the Trans-Pacific Partnership in Japan”という論文にまとめた。
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