研究課題/領域番号 |
16K03640
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研究機関 | 奈良県立大学 |
研究代表者 |
坂西 明子 奈良県立大学, 地域創造学部, 教授 (00316085)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 労働力率 / 女性 / 地域差 / 就業時間 / 空間的自己相関 |
研究実績の概要 |
平成29年度の研究では、第一に女性の就業状況について、頭数でみた就業人口、就業率だけでなく、就業時間の観点を含めて女性就業の決定因の分析を行った。アメリカ経済学会(The American Economic Association)において、科研費の成果となる発表の申込みが査読を経て採択され、平成30年1月に2018年アメリカ経済学会年次大会(The 2018 American Economic Association Annual Meeting)のポスター・セッションにおいて発表を行った。3日間に渡るポスター発表で、様々な国々から参加していた研究者と意見交流し、得られたコメントを論文の修正に役立てた。 さらに、平成29年度の研究では、日本の中で女性労働力率の低い地域が集まっている近畿地方を対象に、近畿大都市圏内部の女性労働力率の地域差についての決定因を考察した。近畿大都市圏の都心地区では大都市圏の中で最も女性労働力率の高い地域が集積し、大阪市への通勤圏となる郊外で女性労働力率の低い地域が目立つ。本研究では、市区町村単位のデータを用いて、近畿大都市圏内部の女性労働力率の決定因を空間的自己相関モデルにより分析した。地域の高齢人口比率、昼夜間人口比率、自営業・家族従業者の女性就業者に占める割合、15歳以上女性の未婚人口割合を説明変数に用い、すべて有意に女性労働力率に影響を与えるという結果が得られた。科研費の研究成果を平成29年10月に行われた日本都市学会第64回大会で報告した。そして、会場から得られたコメントをもとに修正を行った論文が、日本都市学会年報第51号に査読付き論文として掲載されることとなった。平成29年度の研究実績として、国内外の学会・研究会で研究発表を3度行い、2本の査読付き論文を出版した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度の研究は、当初の予定と比べても順調であった。平成29年度には、①女性就業の地域差に関する国内外の研究動向と文献の調査、②海外を含めた複数の学会や研究会での研究成果の発表と、論文の公刊を行うことを予定して研究を進めた。平成29年度の研究では、2018年アメリカ経済学会年次大会(The 2018 American Economic Association Annual Meeting)での発表を含めて、国内外の学会・研究会での発表を3度行い、査読付き論文2本の公刊が決まるなど、研究の進捗状況は順調であった。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度には、女性労働力率と就業時間の地域差を説明する理論モデルについて考察を行い、理論モデルと実証分析の結果をあわせた論文を作成することを計画している。そして、日本の女性労働力率の地域差の変化について、大都市圏、その他地域の別に分析を行い、1990年代以降の女性労働力率の地域差の縮小に対して、地域別の要因分析を行うことを予定している。データ分析の結果をもとに、女性労働力率の高い地域、低い地域について、女性の就業実態の詳細と雇用政策の取り組みを調べる。女性就業の政策的課題と実施されている政策の詳細について複数の自治体等へのヒアリングを行い、女性就業の地域差を縮小するための政策的なインプリケーションを、特に育児と就業の両立支援策、就業のミスマッチの改善の視点から検討する。 研究期間の最終年度となる平成30年度にも、国内外の学会での成果報告、論文の投稿などを行い、科研費の成果の発表を進める予定である。最終年次の平成30年度には、過年度分の成果をも踏まえ、研究成果報告書を作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
英語論文の校閲を平成30年度に行うこととなったため、平成29年度にはその分の人件費・謝金の支出がなかった。平成30年度には科研費を使用して、複数の英語論文の校閲を行う予定である。また、地方自治体への聞き取り調査について、平成30年度に行うこととしたため、次年度にその分の旅費を使用することを見込んでいる。
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